アトピー性皮膚炎の重症度が高いほど、その後の食物アレルギーのリスクは上昇する

Flohr C, et al. Atopic dermatitis and disease severity are the main risk factors for food sensitization in exclusively breastfed infants. J Invest Dermatol 2014; 134:345-50.

フィラグリン遺伝子異常があると、そのままアレルギー発症に関連するのか?

■ フィラグリンとは皮膚のバリア構造をつくるために蛋白のひとつで、異常をきたした場合、アレルギー発症に関連するという報告があります。

 

P: 完全母乳栄養の619名
E: アトピー性皮膚炎(AD)の重症度(SCORADで評価)、フィラグリン(FLG)遺伝子異常、経皮的水分蒸散量(TEWL; 無症状の前腕で測定)
C: -
O: 鶏卵、乳、タラ、小麦、ゴマ、ピーナッツ感作(皮膚プリックテスト[SPT]で評価)

 

結果

食物感作とアトピー性皮膚炎重症度に有意な関連があった(aOR 6.18 [95%信頼区間:2.94-12.98], p<0.001)

■ そして、その関連はFLG遺伝子変異やTEWL、アトピー性皮膚炎のフェノタイプ(屈曲部位vs非屈曲部位)からは独立していた。

■ さらに、食物感作とSCORADに関連が認められた(SCORAD<20; aOR3.91[95%信頼区間 1.70-9.00],p=0.001)(SCORAD>=20; aOR 25.60[95%信頼区間 25.60 [95%信頼区間 9.03-72.57,p<0.001)

 

コメント

■ FLG遺伝子変異がアトピー性皮膚炎のリスク遺伝子であることが報告されているが、湿疹を発症しなければリスク要因にはならず、湿疹を発症した場合はその重症度で感作の頻度が大きくなることがわかる。

■ 外来で「アトピー性皮膚炎は遺伝ですよね?」とい問いにコンパクトに正しく伝えることは難しいが、個人的には「乾燥しやすい体質は遺伝するかもしれませんが、きちんとスキンケアすればかなり防げると思います」とお答えしている。

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