プロアクティブ治療とリアクティブ治療の1年後: ランダム化比較試験

2017年5月29日

Fukuie T, et al. Potential preventive effects of proactive therapy on sensitization in moderate to severe childhood atopic dermatitis: A randomized, investigator-blinded, controlled study. J Dermatol 2016. (in press)

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27075216


リアクティブ治療は、初期治療として抗炎症薬(ステロイド外用薬が主体)を塗布して寛解したあとに、症状が出現した時のみ抗炎症薬を塗布して対処します。プロアクティブ治療は同様の初期治療後に、間欠的に(一般的には週2回程度抗炎症薬を塗布し、皮下の炎症をゼロに近づけていく治療です。最近システマティックレビューも出ています(http://pedallergy.jugem.jp/?eid=26)。


P: 中等症から重症のアトピー性皮膚炎患児 (生後3ヶ月-7歳)
E: プロアクティブ治療 15例
C: リアクティブ治療 15例
O: 1年後のSCORAD、QOL(CDLQI、DFI、QPCAD)、血清TARC、総IgE値、イエダニ特異的IgE抗体価の変化

結果


プロアクティブ治療は、症状が改善した後、隔日2週間ステロイド外用薬を塗布し、その後週2回、ステロイド外用薬を使用するといったプロアクティブ治療に移行した。悪化時には、悪化した局所に1日2回のステロイド外用薬を塗布開始し、改善後、再度プロアクティブ治療に移行した。
リアクティブ治療は、紅斑が出現した場合は1週間保湿剤のみ塗布し、その後ステロイド外用薬を塗布した。
ステロイド外用薬はそれぞれ、体幹四肢は0.12% betamethasone valerate(商品名;リンデロンV)、顔は0.1% hydrocortisone butyrate(商品名;ロコイド)塗布し、2歳以上の患児には顔面と頸部に局所的に 0.03% tacrolimus (商品名;プロトピック)を使用した。
塗布量はFinger Tip Unit (FTU)に従った。
両群における1日あたりのステロイド外用薬使用量に有意差はなく、皮膚萎縮・皮膚線条・血管拡張所見は認められなかった。
SCORADは、リアクティブ治療に比較しプロアクティブ治療はより有意に低下した(P = 0.018)
QOLスコア(CDLQI, DFI and QPCAD )はプロアクティブ群でより有意に低下した(P = 0.0003)。
さらに、ベースライン値と比較して血清TARCはプロアクティブ群で有意に低値を維持し、イエダニ特異的IgE抗体価はリアクティブ群のみ有意に上昇した(P = 0.006)。

コメント


本邦からの報告。
少なくとも中等症以上のアトピー性皮膚炎に関しては、プロアクティブ治療のほうが効果が高く、1年間のステロイド外用薬の使用量にさえリアクティブ治療と差がつかないとまとめられます。
以前Fukuie先生から、後ろ向き研究で同様の結果があります(Fukuie T, et al. Proactive treatment appears to decrease serum immunoglobulin-E levels in patients with severe atopic dermatitis. Br J Dermatol 2010; 163:1127-9.)。それを前向きで証明した研究。
素晴らしい結果で、もっとインパクトファクターが高い雑誌に載ってもいいのではないかと思います。症例は決して多くはないですが、この症例数でここまではっきり結果が出るのであれば少なくて良いでしょう。最初の研究計画がしっかりしているということの証明でもあります。

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