長期完全母乳栄養はアレルギー感作予防に働かない: コホート研究

2017年5月30日

Jelding-Dannemand E, et al. Breast-feeding does not protect against allergic sensitization in early childhood and allergy-associated disease at age 7 years. J Allergy Clin Immunol 2015; 136:1302-8.e13. 

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25843315


母乳栄養がいけないというわけではなく、長期間の完全母乳栄養は必ずしもアレルギー予防には働いていないという論文です。


 

P: Copenhagen Prospective Study on Asthma in Childhoodに参加した新生児335名
E: 長期の完全母乳
C: –
O: (1歳,4歳,)6歳時の12種の吸入抗原、10種の食物抗原感作

【結果】

長期の完全母乳栄養と6歳時の感作には有意な関連は認められなかった(オッズ比 0.96 [95%信頼区間 0.84-1.10])

【コメント】

母乳栄養が人工栄養より優れているという報告は枚挙にいとまがなくメタアナリシスも多いです。例えば、完全母乳は、乳児期の死亡リスクを低下させるといった報告や、母乳栄養は川崎病を予防するかもしれないといった報告は、そのメリットを示したものといえるでしょう。
しかし、ことアレルギー発症に限るとメリットが明瞭ではなくなります。

母乳に含有される栄養分(蛋白とかミネラルというわけではなく、例えばTGF-βや分泌型IgAなど)が、防御に働いたりするようで、含有量により効果が変わるようです。
母乳栄養をすすめるのが小児科医として正しいとは思いますが、個人的には「少量で」「早めに」人工乳を開始してもいいんじゃないかなと思っています。生後14日以内に人工乳を始めたほうが圧倒的に乳アレルギーが少ないというコホートの報告もあります(Katz Y, et al. J Allergy Clin Immunol 2010; 126:77-82.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20541249)。そのため、乳児アトピー性皮膚炎の初診患者さんが人工乳を飲んでいるとほっとしてしまいます。スキンケア指導を十分行っていくだけで、そのまま乳の摂取を継続すれば、寛容を維持しやすい(食べられなくなりにくい)からです(反対意見もあると思いますが、、)。

最近は、母乳中の食物はむしろ予防に働くのではないかという報告や、母乳中の成分の影響も考えられており、まだ考えていかければならないことが多くありそうです。