Zolkipli Z, et al. Randomized controlled trial of primary prevention of atopy using house dust mite allergen oral immunotherapy in early childhood. J Allergy Clin Immunol 2015; 136:1541-7.e1-1
環境整備は喘息発症を減らすのか?
■ 環境整備(ダニを減らす)のみでは、アトピー性皮膚炎の予防はできないことがメタアナリシスで示されています。一方で、2歳までの感作が防止されると、10歳と18歳での小児喘息発症が防止されることが報告されています。
■ これらは矛盾してはいますが、一方でダニ免疫療法によりアレルギー疾患が予防できる可能性が残されています。
P: 皮膚プリックテスト陰性(チリダニ類、花粉、ネコ、ピーナッツ、乳、卵)のアレルギーハイリスク(第1親等に>2名以上のアレルギー疾患)の1歳未満の乳児 111名
E: チリダニ類(HDM)抽出物(Der p1、Der f1、Der2;11mg相当) 1日2回経口投与 C: プラセボ 1日2回経口投与 O: 12ヶ月後のHDMの累積的感作率 |
結果
■ HDM投与群(5例[9.4%])は、プラセボ投与群(13例[25.5%])に比較してすべてのアレルゲンに対する感作率に有意な減少が認められた(16.0%; 95%CI、1.7%~30.4%)(P = .03)。
■ しかし、プライマリアウトカムであるHDM感作率には有意差はなく、喘鳴、食物アレルギーに対する予防効果は認められなかった。両群の副作用に有意差は認められなかった。
論文から引用した図に、管理人が情報を追加。
コメント
■ 先行研究で、生後18-30ヶ月からHDM、ネコ、オオアワガエリ花粉を舌下免疫療法を行うも、4歳での感作やぜん息の発症を予防できなかったという報告があます(Holt PG, et al. J Allergy Clin Immunol 2013;132:991-3.e1.)
■ 一方で、ワイト島予防研究は、2歳までのアレルギー感作が防止されると、10歳と18歳での小児喘息発症が防止されることを示唆しています(Arshad SH, et al., Thorax 2003;58:489-93.)(Scott M, et al., Thorax 2012;67:1046-51.)。
■ この研究は、今後、3,6歳までフォローアップする予定だそうです。