舌下免疫療法は喘息を軽症化するか?
■ 喘息とダニアレルギーの関係は明らかでしょうけれども、発症前にダニ免疫療法で喘息やアレルギー疾患を予防できるかどうかはまだ結論が出たとは言えません。
■ では、すでに喘息を発症している患者さんに対して、舌下免疫療法を行った場合の結果はどうでしょうか。
3か月でICSを50%減量、さらに3か月で中止
E: チリダニ(HDM)舌下免疫療法 6SQ/doseを受けた275例 チリダニ舌下免疫療法 12SQ/doseを受けた282例
C: プラセボ 277例
O: プライマリアウトカム 6か月後までのICS減量期の初めての中~重症喘息増悪までの期間
セカンダリアウトカム 6か月後までの喘息症状の悪化、アレルゲン特異的IG4の変化、喘息コントロールもしくはQOLに関するアンケート結果、有害事象
結果
■ 834名中693名が本研究を完了した。除外基準は、ランダム化前3ヵ月以内のFEV1が70%未満、または入院歴だった。
■ 6SQ-HDM投与群も12SQ-HDM投与群も、プラセボに比較して有意に中~重症喘息発作を減少させた(ハザード比[HR]:6SQ-HDM群0.72[95%CI、0.52-0.99];p=0.045、12SQ-HDM群 HR 0.69[95%CI、0.50-0.96; p=0.03)。
論文から引用、管理人が情報を追加。
■ HDM投与群vsプラセボ群で観察されたデータ(Full analysis set分析)に基づく絶対危険度の差は、6SQ-HDM群0.09(95%CI、0.01-0.15)、12SQ-HDM群0.10(95%CI、0.02-0.16)だった。
■ HDM投与群はプラセボと比較して、増悪リスクが、喘息症状(6SQ-HDM群のHR 0.72[95%CI、0.49-1.02];p=0.011、12SQ-HDM群のHR 0.64[95%CI、0.42-0.96];p=0.03)だった。
■ アレルゲン特異的IgG4は有意に増加したが、どちらの投与量でも、喘息コントロールやQOLアンケート調査は有意差は認められなかった。
■ 有害事象は、最も多かったのが中軽度の口腔内そう痒(6SQ-HDM群13%、12SQ-HDM群20%、プラセボ群3%)、他に口唇浮腫と咽喉刺激感だった。
ダニアレルギーがある成人喘息に関し、ダニ舌下免疫療法は喘息発作を減らす。
■ 吸入ステロイド薬で十分抑制されないダニアレルギーのある成人ぜん息において、チリダニ舌下免疫療法は6か月後の中等症以上の喘息発作を9-10%減少させ、中等症以上の喘息増悪を改善させる効果があるとまとめられます。
■ 本邦でも舌下免疫療法が使用できるようになっており、今後使用が増えてくるかもしれませんね。