アトピー性皮膚炎児の毎日の入浴を、専門医は推奨しプライマリケア医は推奨しない: ウェブベースの横断研究

 

Cardona ID, et al., Bathing Frequency Recommendations for Children with Atopic Dermatitis: Results of Three Observational Pilot Surveys. Pediatr Dermatol 2015; 32:e194-6.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25968810

 

アトピー性皮膚炎がある場合、毎日入浴したほうがいいのか?

■ アトピー性皮膚炎の皮膚洗浄もしくは入浴頻度に関し、医師によって「入浴(もしくはシャワー)してはいけない」「入浴(もしくはシャワー)したほうが良い」と180度異なる指導を受けることがあります。

■ そして、どちらかと言えばプライマリ・ケアでは「してはいけない」、専門医では「した方がいい」と言われることが多いのは感じていました。

 

P: 皮膚科医、アレルギー専門医、プライマリケア医(PCP)に対して行われたアトピー性皮膚炎児の入浴頻度の推奨に関するアンケート

E: American Academy of Allergy, Asthma, and Immunology(米国免疫アレルギー学会)の所属医904人

C1: American Academy of Pediatrics and Family Practice(米国小児科学会)の所属医145人

C2:Society of Pediatric Dermatology and the Maine Society of Dermatology(小児皮膚科学会)の所属医93人

O: それぞれ入浴頻度の推奨に違いはあるか

 

結果

■ 米国免疫アレルギー学会の所属医の回答者904人中、毎日の入浴を推奨したのは57%、毎日の入浴を推奨しないのは14%だった。

米国小児科学会の所属医に対するアンケートは、入浴方法に関するアンケートの一部として行われ、回答145人のうち、毎日の入浴を推奨したのは21%であり、毎日の入浴を推奨しないのは56%だった。

小児皮膚科学会の所属医に対するアンケートも、入浴方法に関するアンケートの一部として行われ、回答93人のうち、毎日の入浴を推奨したのは71%であり、毎日の入浴を推奨しないのは17.2%だった。

 

論文からのまとめ。

 

コメント

■ プライマリケア医の50%以上は、毎日の入浴を推奨しないが、専門医の50%以上は毎日の入浴を推奨していたとまとめられます。

■ 入浴頻度に関する報告は決して多くはなく、毎日の入浴が有意に湿疹重症度を低下させるという報告もある( Kim H, et al., Asia Pac Allergy 2012; 2:269-74.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23130333)一方で、違いはないとする報告もあるようです(Koutroulis I, et al., Clin Pediatr (Phila) 2014; 53:677-81. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24634423)。

■ 個人的には、この違いは重症度の違いに基づくものと思っています。

■ アトピー性皮膚炎が重症になると皮膚の黄色ブドウ球菌は増加します。

■ どちらかと言えば、専門医には重症度が高くなってから受診する傾向がありましょうから、洗浄を勧められることが多くなるでしょう。

■ 安定化してくれば、むしろ皮膚を洗浄することによる乾燥を助長するデメリットが高くなり、洗浄を勧めなくなるのではないでしょうか。

■ わたしは、中等症以上で初診された患者さんには積極的に洗浄(+石鹸洗浄)をすすめ、だんだん改善するとまず石鹸洗浄を減らし、次いでシャワー(もしくは入浴)回数を減らすように指導しています。

■ ただ、本邦ではもともと最低限1日1回の入浴をすることが多いでしょうから、そこは制限しないようにしています。

■ もちろん、この問題は、気候や風土の影響を強く受けるでしょう。実際に入浴回数とアトピー性皮膚炎の重症度に関連があるとした上のKimらの検討は夏に行われています。

■ また本邦からも、夏場に学校でシャワー浴をすることで改善がみられることも報告されています(Mochizuki H, et al., Pediatr Dermatol 2009; 26:223-5.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25968810)。

■ 入浴もしくはシャワー後の保湿はmustとして、時期や病期に応じて入浴回数を指導する必要性があると考えます。