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 今回はレビューです。

 今週は、アトピー性皮膚炎のバイオマーカーに関する報告を多くご紹介してきました。

 例えば、単一のバイオマーカーであればTARCがいいとか、

アトピー性皮膚炎のバイオマーカーは、どれが最も役立つか?

 いやいや、単一より複数を組み合わせたほうがいいとか、、、。

アトピー性皮膚炎の重症度診断には単独より複数のバイオマーカーが良い?

 今回ご紹介するのはインパクトファクターはそれほど高くないjournalですが、最近のアトピー性皮膚炎のバイオマーカーの現状に関し、示唆が富む優れたレビューです。

 このレビューを発表したグループが、上に挙げた研究結果を報告していることもあり、読む価値のあるレビューと思います。

 今回の論文は全文がフリーで閲覧できるので、少し詳しめ。

 

レビューなのでPECOはなし

 

結局、何を知りたい?

✅アトピー性皮膚炎のバイオマーカーに関し、最近の報告をまとめようとしている。

 

まとめ

 

 アトピー性皮膚炎において、多くのバイオマーカーは、重症度の指標として研究されてきた。
 thymus and activation-regulated chemokine (TARC)(TARC)は、重症度を評価する優れたバイオマーカーである。
 しかし、我々は、血清バイオマーカーの併用が、個々の生物マーカーよりも重症度を評価することに適していることを示した。
 世界保健機関は、バイオマーカーを「体またはその産物により測定されうる物質、構造または過程であり、病気の転機の発生の影響や予測をするもの」と定義している。

 

アトピー性皮膚炎のバイオマーカー

 

診断のためのバイオマーカー

 アトピー性皮膚炎(AD)は、診断を確定するための客観的で信頼に足るバイオマーカーはなく、臨床診断に留まる。
 古典的には、ADは2つの外因性、内因性の二つのサブタイプに分けられており、総血清IgEは約20%のAD患者では上昇しないため、総血清IgEがAD患者すべての診断バイオマーカーとしては使えない
 最近、Suarez-Farinas らは内因性および外因性AD患者では類似のTh2型免疫活性化をしており、Th2は外因性AD患者のにおけるIgE高値の唯一の原因ではないことを示唆した(J. Allergy Clin. Immunol. 2013, 132, 361–370.)。

 

重症度のバイオマーカー

 重症患者はより高いIgEを持つ傾向があるが、IgEが高くない重篤な皮膚炎患者もいる。

 従って、総血清IgEは、重症度のための信頼性が高いバイオマーカーでない( J. Am. Acad. Dermatol. 2014, 70, 338–351.)。

 ADの重症度に対する血清バイオマーカーは、eosinophilic cationic protein(ECP)、IL-2R、hymus and activation-regulated chemokine(TARC/CCL17)がこれまで報告されている
 ADの重症度のための血清バイオーマーカーにおけるシステマティックレビューで、血清TARCが、縦断的研究で加重平均R値0.51、横断研究で加重平均R値0.63で相関が最もよかったことを示している。

 しかし、重篤なAD患者のTARCが正常範囲であったり、軽症中等症患者でも高いTARCを示す可能性もある(J. Am Acad Dermatol. 2014, 71, 1160–1166.)。

 これは、ADの病因と臨床的な異質性に関係する、多数の生物学的経路によって説明されるかもしれない。

 実際、4つの血清バイオマーカーによる多変量指数が、6つの領域と6つの徴候を評価するアトピー性皮膚炎重症度スコア(SASSAD)で測定される重症度に0.86の相関係数を示すことが最近証明された(Br. J. Dermatol. 2002, 146, 1057–1060.)。

 17例の予備的研究ではあるが、ADのような多面的な疾患の測定にはバイオマーカーの併用が有用なのかもしれない(Clin. Exp. Allergy 2015, 45, 698–701.)。

 現在、重症度測定のためのゴールデンスタンダードの基準はADにはなく、20以上のいろいろな複合指数が提示されている( J. Allergy Clin. Immunol. 2007, 120, 1389–1398. )。

 臨床試験の代理のエンドポイントとしてのバイオマーカーは、試験の比較を改善しメタアナリシスを容易にする。

 

前兆となるバイオマーカー

 

 新しい治療薬と「ターゲット」治療の導入はまた、前兆となるバイオマーカーの必要性を惹起するが、疾患の不均一性があるため、サブグループの層別化は前兆となるツールの発達が不可欠である。

 

バイオマーカーを測定する別の方法

 

 血液は、バイオマーカー測定に最も一般的に用いられるが、採血は訓練されたスタッフを要し、侵襲性でもありこの領域に適していない。また、小児領域でも好まれない。
 そこで、毎日のプラクティスと追跡研究用の選択肢として、ろ紙乾燥血液(
Dried Blood Spots;DBS)と唾液がある。

 

ろ紙乾燥血液(Dried Blood Spots;DBS)
 Chambers らは、DBSから40種類のタンパク質パネルの質量分析が可能であることを報告している(Mol. Cell. Proteomics 2013, 12, 781–791.)。

 

唾液
 唾液がバイオマーカーを測定する理想的な検体であるようにみえるが、検体の採取と取扱いに関して多くの変数が存在する。

 さらに、唾液の構成とタンパク質濃度は、多くの因子(例えば年齢、性、水分補給ステータス、流量、サンプリング、食事の時間)によって影響される。唾液サンプルの採取と取扱い方法の標準化が、毎日のプラクティスにおける導入の前に必要とされている。

 

結局、何がわかった?

✅アトピー性皮膚炎の重症度を示すバイオマーカーとして、単一ではTARCの有用性が報告されている。

✅一方、複数のバイオマーカーを組み合わせる方法も有望視されており、4つの血清バイオマーカーによる多変量指数が、臨床的なアトピー性皮膚炎重症度スコアと相関係数0.86で強い相関を示した。

✅血清採血だけでなく、ろ紙乾燥血液検査(小児科では先天性代謝異常でおこなうような検査)や唾液も検査を行う検体として有望視されているが、まだこれからの研究が必要である。

 

コメント

 

 血清TARCが毎日のプラクティスや臨床試験にに対する優れた補助的手段を提供するにもかかわらず、アトピー性皮膚炎のようなheterogeneous(不均一)な疾患に対して、単一のバイオマーカーを使用するのは制限が起こりうると述べられていました。
 近い将来、バイオマーカーのパネル検査が、これまでの検査を置き換える可能性があるとされていました。

 ただ、現状では、稀にIgEとTARCを同時に検査すると保険審査に問題が出たり(最終的には通していただけましたが、)、保険内で同一疾患に対する複数のバイオマーカーを駆使するのは難しいでしょうね、、。

 

今日のまとめ

✅アトピー性皮膚炎のバイオマーカーは、単一ではTARCがまずまず良い結果を示し、他のバイオマーカーを組み合わせる方法が研究中である。

 

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