Szefler SJ, et al. A phase III randomized controlled trial of tiotropium add-on therapy in children with severe symptomatic asthma. J Allergy Clin Immunol 2017.[Epub ahead of print]
小児喘息に対し抗コリン薬は有効か?
■ 久しぶりにweekdayの更新を一日とばしてしまいました。最近3週間ほど休息日が取れていない分、自分自身のパフォーマンスが発揮できていないようです、、
■ さて、それはさておき、抗コリン薬は気管支拡張薬の一種でCOPDによく使われますが、小児にCOPDはほぼありません。しかし、喘息の追加治療として行われる場合があります(小児の保険適応はありませんが)。
■ 今回ご紹介するのは、抗コリン薬であるtiotropium(商品名スピリーバ)が、重症喘息児の呼吸機能を改善するかどうかをみた研究になります。
■ まだEpub ahead of printですが、全文フリーで読めます。
E1: tiotropium(商品名スピリーバ) 5μg(2.5μg×2puff)1日1回 12週間
E2: tiotropium(商品名スピリーバ) 2.5μg(2.5μg×1puff)1日1回 12週間
C: プラセボ 12週間
O: プライマリエンドポイント:投薬後3時間以内の最大FEV1
セカンダリエンドポイント:トラフFEV1
結局、何を知りたい?
✅抗コリン薬吸入が、重症喘息児に対する追加治療として有効かどうかを知ろうとしている。
抗コリン薬(スピリーバ)を2用量で投与とプラセボで12週間の投与を行った。
■ 参加者は、下記の基準を満たした。
1) スクリーニング前の少なくとも4週間、1つ以上のコントローラ薬物(例えば、LABAまたはLTRA)を併用して継続した高用量ICSを使用しているが、2つ以上のコントローラ薬物(例えば、LABAおよび/またはLTRAおよび/または持続性テオフィリン)と併用して持続して中用量ICSを使用している。
2) スクリーニング前に、気管支拡張薬使用前の予測FEV1の60%~90%を示す。
3) 200μgのサルブタモール(アルブテロール)を使用15~30分後にFEV1が12%以上の可逆性を示す。
4) ランダム化のスクリーニング時にFEV1の変動が±30%以内である。
■ プラセボと比較して、2.5μg群では効果に有意差がなかったものの、tiotropium 5μg群では、プライマリエンドポイントである、投薬後3時間以内の最大FEV1(5μg群 139mL[95%CI 75-203; P < .001]; 2.5μg群 35mL[95%CI -28~99; P = .27])を改善した。
■ また、セカンダリエンドポイントであるトラフFEV1も改善した(5μg群 87mL[95%CI、19-154; P = .01]; 2.5μg群 18mL[95%CI -48~85; P = .59])。
■ tiotropiumの安全性と忍容性は、プラセボと同等だった。
結局、何がわかった?
✅他の薬剤を使用している重症喘息児に、抗コリン薬であるスピリーバを1日5μg追加吸入すると呼吸機能が改善し、特に副作用も増えなかった。
スピリーバは小児でも有効であるが、5μg/日が必要そうだ。
■ 吸入ステロイド薬や長時間作動性気管支拡張薬(LABA)、抗ロイコトリエン拮抗薬(シングレアなど)を使用してもコントロール困難な児は時折見られます。
■ 治療の選択肢が増えることは助かりますが、先行したLABAに関しての安全性の決着も、ようやく最近ついたばかりです。
パルミコート単独とシムビコートの安全性評価比較試験: 大規模ランダム化比較試験
小児喘息治療においても、フルチカゾンにサルメテロール追加は重大なリスクを増加させない: 大規模ランダム化比較試験
■ 使用しなければ喘息のコントロールがままならない患児もいらっしゃるのですが(ただし現状では本邦で小児に保険適応はありません)、安全性などに関し、今後も注意を払っていきたいと思っています。
今日のまとめ
✅他の薬剤を使用している重症喘息児に、抗コリン薬であるスピリーバを追加治療するオプションがあるかもしれない。