アトピー性皮膚炎にステラーラは有用か?

生物学的製剤のひとつであるウステキヌマブ(ステラーラ)がアトピー性皮膚炎に有効かどうかを検討したランダム化比較試験。

■ 生物学的製剤が次々と発表され、その臨床応用も広がってきています。

■ 今回は本邦からの報告で、尋常性乾癬に使用されるウステキヌマブ(商品名ステラーラ)をアトピー性皮膚炎に応用した結果をご紹介いたします。

 

PECO
P: 重症もしくは非常に重症であるアトピー性皮膚炎(AD)に罹患している20-65歳の成人患者79人
E1: ウステキヌマブ(商品名ステラーラ) 45mg 24人
E2: ウステキヌマブ 90mg 28人
C: プラセボ 27人
O: プライマリエンドポイント: 12週でのEczema Area and Severity Index (EASI)スコアの変化
セカンダリエンドポイント:EASI-50、EASI-75を達成している患者の率、、Investigator's Global Assessment 0-1、ベースラインからのAtopic Dermatitis Itch ScalやDermatology Life Quality Indexeの変化

 

結局、何を知りたい?

 ✅ウステキヌマブ(商品名ステラーラ)がアトピー性皮膚炎に効果があるかどうかを知ろうとしている。

 

Saeki H, et al. Efficacy and Safety of Ustekinumab in Japanese Patients with Severe Atopic Dermatitis: A Randomised, Double-Blind, Placebo-Controlled, Phase 2 Study. Br J Dermatol 2017. [Epub ahead of print]

結果

ウステキヌマブ治療群のベースラインから12週におけるEASI最小二乗平均変化は(45mg:-38.2%、95%信頼区間[CI]-21.02-19.51;p<0.94と90mg群:-39.8%、95%CI、-21.84- 17.14; p<0.81)、プラセボ(-37.5%)に比較して有意ではなかった

■ セカンダリエンドポイントに関し、ウステキヌマブ群両方で改善がみられたが、プラセボに対して有意ではなかった。

■ 最も頻度が高い有害事象(2例以上の患者)は、鼻咽頭炎(すべての群で同程度)と、ADの悪化(プラセボ群よりウステキヌマブ群で高い)。

 

結局、何がわかった?

 ✅ウステキヌマブは、成人のアトピー性皮膚炎に十分な効果を示さなかった。

 

コメント

■ 残念ながらウステキヌマブの45mgと90mgは、重症ADに罹患している日本の患者で、有効性を示さなかったとまとめられます。

■ 例数が少ないことがLimitationに挙げられていましたが、少なくとも目覚ましい結果とはいかなかったようです。

■ アトピー性皮膚炎に関する生物学的製剤は、いくつかの製品が候補にあがってきています。

■ 乾癬に対する治療は、生物学的製剤では大きく変貌してきていますし、多くの患者さんにとって生物学的製剤が福音であることは間違いはありません。

■ 一方で医療経済的には極めて高コストです。積極的に使用されている皮膚科の先生からですら、「確実に医療経済が破たんすると思う」というお話をお聞きしたことがあります。保険制度の維持が困難になってくる要因となることもまた事実ではありましょう。悩ましい問題でもあります。

 

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今日のまとめ!

 ✅ウステキヌマブは、成人のアトピー性皮膚炎に使用しても効果は望みにくいようだ。

 

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