小児喘息の重症度に関与する原因はなにか?

Liu AH, et al. Pathways through which asthma risk factors contribute to asthma severity in inner-city children. J Allergy Clin Immunol 2016; 138:1042-50.

 1日600pvを超えました。ありがとうございます。

■ 今日は当直明けです。なんとか毎日更新を続けて、このブログを開設後、今月12日で1年半になりました。そして、初めて1日600pv(ページビュー)を突破しました。今後安定して伸びてくるかはわかりませんし、まだまだ弱小ブログであることは確かですが、徐々に閲覧してくださる方が増えているのをうれしく思っています。

■ 世の中の不確かな情報が大きくなる中、いわゆる「健康本」やネットの不確かな知識の問題が大きくなってきていると思っています。

命に関わる損をさせても「表現の自由」なのか 健康本を巡る出版関係者の思い

■ そのような不確かな情報が多い中で、出来ればなんらかのお役に立つブログになることを希望しています。とはいえ、このような読みにくい内容では、なかなかウケないので、なかなかpvが伸びてこないでしょうね、、、難しいものです。

 

喘息の重症度。セッティングによってもかわります。

■ さて、前置きが長くなりました。小児喘息のリスク要因にも、セッティングでいろいろ分類できることになります。例えば、救急外来のセッティングではウイルス検出、発熱の有無、喘息発作の重症度、酸素飽和度92%未満、増悪間の症状の存在が抽出されたという報告をご紹介しました。

救急外来での小児喘息治療失敗には、どのようなリスク要因があるか?

■ また、成人も含めた研究で、ステロイド薬を内服しなければならない喘息発作を起こす要因は、好酸球数・肥満・気管支拡張薬への反応性があげられていました。

ステロイド薬を内服しなければならない喘息発作を起こす要因はなにか?

■ 今回は小児喘息の重症度に関与するリスク経路を検討した報告です。

 

 

 

 6歳から17歳の喘息・鼻炎患者 561人に関する喘息の重症度に関係する経路を調査した。

背景

■ 経路分析は、宿主および環境因子が喘息の重症度にどのように影響するかを決めるために使用される。

 

目的

■ 都心の子どもの喘息重症度を説明する経路を調査する。

 

方法

■ 公表された医学的エビデンスに基づき、8つのリスク経路要因(アレルゲン感作、アレルギー性炎症、肺生理、ストレス、肥満、ビタミンD、副流煙[ETS]曝露、鼻炎重症度)が喘息重症度との関連あるかを述べるために、概念モデルを作成した。

■ これらの要因と喘息重症度において仮定された関係の相対的な大きさと重要性を推定する目的に、Inner-City Asthma Consortium研究において因果ネットワーク分析を実施した。

■ 参加者は、米国内の9都市からの6歳から17歳の喘息・鼻炎患者 561人であり、1年間、2か月ごとに評価された。

■ 喘息重症度は、日中と夜間症状・増悪とコントローラ使用を前向きに評価された。

 

結果

■ この概念モデルは、喘息の重症度の変動の53.4%を説明することができた。

アレルギー経路(アレルゲン感作、アレルギー性炎、肺生理、鼻炎重症度)と副流煙(ETS)曝露経路(ETS曝露と肺生理)は、喘息重症度に対し有意な影響があることが示された。

■ これらの要因において、肺生理(機能)と鼻炎重症度は喘息重症度に有意に影響し(それぞれ-0.51と0.48)、ETS曝露(0.30)およびアレルギー性炎症(0.22)がそれに続いた

■ ビタミンDは喘息重症度に軽度ではあるものの間接的には有意に影響したが、その効果は直接的には有意ではなかった(0.01)。

 

論文から引用したグラフィカルアブストラクト。

アレルゲン感作、アレルギー性炎症、肺生理(機能)、ストレス、肥満、ビタミンD、副流煙[ETS]曝露、鼻炎重症度に関する影響の度合いを図にしている。

 

 

結論

■ 原因のネットワーク分析によって示唆された影響の大きさは、種々の要因の相対的な貢献度を定量化することができた。これらは、喘息重症度に対する介入に関し何を優先させるかのために使用することができる。

 

結局、何がわかった?

 ✅小児喘息の重症度に対し、肺生理(機能)(-0.51)と鼻炎重症度(0.48)は喘息重症度に影響しており、副流煙曝露(0.30)およびアレルギー性炎症(0.22)がそれに続いていた。

 

 

 肺機能や鼻炎、受動喫煙、アレルギー性炎症に重点的に配慮することで、重症度をさげることができるかもしれない。

■ こういう分析は、セッティングによっても、最初ピックアップした因子によってもかなり変わることが多いと思われます。

■ しかし、肺機能や鼻炎、受動喫煙、アレルギー性炎症に関して重点的に配慮することがより重症であることがわかったことになります。

 

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今日のまとめ!

 ✅小児喘息の重症化への経路は、肺機能や鼻炎、受動喫煙、アレルギー性炎症が大きなものになるようだ。

 

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