喘息のバイオマーカー~様々なバイオマーカー~(第2回/全2回)

Berry A, Busse WW. Biomarkers in asthmatic patients: Has their time come to direct treatment? Journal of Allergy and Clinical Immunology 2016; 137:1317-24.

気管支喘息のバイオマーカーのレビューの2回目。

■ 前回は、バイオマーカーの定義や分類でした。今回は各論です。

■ 全文がフリーで閲覧できるレビューでFigureがたくさんありますが、あえてそれはUPしていません。上のリンクから元論文をご覧ください。

 

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好酸球・呼気一酸化窒素・IgE・ペリオスチンなどなど。

好酸球

■ 好酸球は長年にわたる喘息の特徴であり、少なくとも一部の患者では、喘息の病態生理、その重症度、およびおそらくその病因に基本的なものと考えられている。しかし、最初の抗IL-5mAb治療による広い喘息集団に対する研究は、循環している好酸球をほぼ完全な除去したにもかかわらず、肺機能、症状、増悪に影響を及ぼさなかった

■ 通常、長時間作動性β刺激剤またはロイコトリエン拮抗薬と組み合わせ、吸入ステロイド(ICS)が推奨されており、軽症から中等症の喘息患者のは、ほとんどの場合、このアプローチを用いて達成することができる。バイオマーカーの使用は、治療を達成するためにあまり必要ではない。

■ しかし、適切な治療法を順守しているにもかかわらず頻繁に増悪する重症患者では、臨床状況が異なり、他の治療法の選択を指示するためにバイオマーカーのモニタリングが必要となるかもしれない。

■ 誘発喀痰好酸球数の正常化を目標にした吸入ステロイド薬による治療戦略は、追加の抗炎症治療を必要とせずに喘息増悪や入院を減少させるという報告がある。

■ Haldarらは、抗IL-5 mAbは喀痰中と血液好酸球に継続した効果があり、高用量ICSにもかかわらず多くの患者では全身性ステロイドを要する重症の喘息患者にメポリズマブを追加することで、喘息増悪が約50%減少したことを示した。ただし、メポリズマブは症状または肺機能には限定的な影響しかなかった

■ 重度の喘息患者に対するDREAM研究では、メポリズマブの3種類投与量(75,250,750mg)すべてが末梢血好酸球数を減少させ、悪化をほぼ50%抑制することを示した

■ 現在までの研究結果から、吸入または全身性ステロイドを既に受けている患者で、増悪を経験している患者では、メポリズマブが効果のあるマーカー閾値として、末梢血好酸球数が150個/ mm 3以上になることが明らかになっている

■ 反応性を最も正確に予測する末梢血好酸球数のカットオフ値はまだ完全に決定されておらず、患者集団および測定された結果に依存して変化し得る。

 

FeNO 呼気一酸化窒素

■ 一酸化窒素は気道上皮によって生成されるTh2系の炎症マーカーである。

■ FeNO測定は、米国胸部学会/欧州呼吸器学会ワークショップによって標準化されており、よくコントロールされた喘息患者において、FENOの正常上限値は 25 ppbである。

■ FENO高値の患者はICSから利益を得る可能性があるが、治療されているにもかかわらず、50ppbを超える値は、コルチコステロイド感受性が低い喘息を示唆する。

■ 好酸球数のように、FENOの増加は喘息増悪リスクを予測する。

■ FENOの喘息患者における価値はまだ確立されていないが、その実施の容易さは、より重度の疾患を有する患者および、生物学的薬剤が考慮される患者に対する使用の拡大が約束されている。

 

ペリオスチン

■ 炎症性サイトカイン、特にTh2サイトカインによって生成された特定の遺伝子産物の発見は、喘息患者における新規かつ潜在的に意味のある実用的なバイオマーカーの一例である。

■ ペリオスチン増加は、Th2高値のプロフィールを反映することを示唆する。Th2高値およびペリオスチンレベル高値である喘息患者は、FEV1の有意な改善を示したが、Th2低値の群は改善しなかった

■ ペリオスチンは、好酸球、好塩基球、肥満細胞、活性化T細胞、およびマクロファージによって産生される多面発現性T2サイトカインであるIL-13によって誘導される。

■ ペリオスチンの臨床関連の更なる評価は、血清ペリオスチン高値群が抗-IL-13mAb療法によるFEV1のより大きな改善を示すという研究結果からである。

■ レブリキズマブ(IL-13に対するヒト化mAb)の投与は、ペリオスチン高値である患者において、プラセボと比較してFEV1値が8.2% 改善し、ペリオスチンレベル低値の患者において、改善されたFEV1は、最小限だった。

■ Jiaらは、喘息患者において好酸球性炎症の全身生物マーカーを特定するために、2つの患者コホート試験から血液、痰、気管生検検体を採取した。血清ペリオスチンレベルは気道好酸球のマーカー(生検標本、喀痰、またはその両方)とパラレルに変化したが、相関を見るためには好酸球数のカットオフ値を設定する必要があった。

■ ペリオスチン、FENO、好酸球数、IgE値による感度と特異度は、気管好酸球状態(痰と生検値)との関係から評価すると、ペリオスチンが良好な予見した。

 

IgEおよび抗原特異的IgE抗体価

■ 大多数の喘息患者はアレルギー感作を有する。

■ Hananiaらはオマリズマブに対する反応性に関し、バイオマーカーの予測的関連性を評価した。三種類のバイオマーカーはオマリズマブ治療における増悪及び反応性との関係を評価され、FENO、末梢血好酸球数、ペリオスチンレベルに関しいずれかが増加していると、喘息増悪のより大きなリスクと関連していた。

■ また、FENO、好酸球数、ペリオスチン高値である場合、オマリズマブが効果がある可能性がより高かった

 

非T2バイオマーカー

■ 大部分の喘息患者、特に重症の患者は、Th2フェノタイプではない

■ 重症喘息フェノタイプに対する炎症性パターンの重要性にもかかわらず、現時点では、このサブグループを定義するバイオマーカーはほとんどない

■ これらの炎症性パターンに対するバイオマーカーの欠如は、抗IL-17物質であるブロルダルマブのように、この経路を標的とする生物学的製剤に反応性がある可能性のある患者を「事前に特定」することを困難にしている。

 

最後に

■ 喘息患者のバイオマーカーの発見、適用、実施が発展しているが、現在利用可能なバイオマーカーは広範囲で、限定され、誰が喘息の危険があるかについて特定するにはあまりに非特異的である。

■ しかし、次の10年以内に、喘息患者におけるバイオマーカー評価は、糖尿病患者でHbA1c評価のように患者選択の不可欠な基準になると予測される。

 

 

 今後のバイオマーカーの発展に期待しましょう。

■ 気管支喘息のバイオマーカーは、まだ不十分ではあるものの、今後の発展が期待できる分野といえましょう。

■ 非Th2炎症のバイオマーカーが不足していることが現状では最も大きな問題ではないかと思います。

 

 

今日のまとめ!

 ✅好酸球・呼気一酸化窒素・IgE・ペリオスチンなど、気管支ぜんそくのバイオマーカーの現在がよくわかる総論だった。