気道の微生物と好酸球性喘息&好中球性喘息の関連

Sverrild A, et al. Eosinophilic airway inflammation in asthmatic patients is associated with an altered airway microbiome. J Allergy Clin Immunol 2017; 140:407-17.

 喘息をフェノタイプに分けることと、アレルギーと微生物叢の関連に注目が集まってきています。

■ 今週はなんとかブログの更新ができましたが、来週は忙しすぎて毎日はムリかもしれません、、

■ 好酸球性炎症と非好酸球炎症(≒好中球炎症)に分けてフェノタイプ分類する場合が増えてきました。実際はアレルギー性炎症だから好酸球とはなりませんので、さらに複雑であることには変わりないのですけど、、

血中好酸球数増加は、重症喘息の増悪や救急外来受診のリスクを予測する

痰中の好酸球や呼気一酸化窒素は喘息増悪のリスクを予測する

■ さらに、マイクロバイオームも報告が増えてきています。

便中細菌の菌株により、アトピー性皮膚炎の発症リスクが変わる?

 

 吸入ステロイド薬を使用していない喘息患者と、健常者の気道炎症の種類によって、気道に定着している細菌叢は異なるか?

背景

■ 健常対照被験者と比較して、喘息患者はマイクロ・バイオームの多様性が大きく変わっており、Proteobacteriaがより多く、Bacteroidetesはより少ないとされている。

■ しかし、抗炎症性治療を受けていない被験者においての、気道炎症と気道マイクロバイオームを比較している研究は少ない。

 

目的

■ ステロイドを使用していない喘息患者において、気道のマイクロバイオームと気道炎症パターンの関係を、健常対照者と比較して検討した。

 

方法

吸入ステロイドを使用していない喘息患者(非喫煙者) 23例と健常対照者 10人から、気管支肺胞洗浄液が集められた

■ 得られた検体から、細菌DNAを16S rDNA V4領域から抽出し、16S rDNA V4領域のIllumina MiSeq配列を決定した。

■ 粘膜下組織の好酸球および好中球を、免疫組織化学的に同定し、コンピュータ化画像分析によって定量した。

■ さらに、誘発喀痰・マンニトールに対する気道過敏性・呼気中一酸化窒素が測定された。

■ 上記の方法を用いて、気道微生物の多様性・構成と炎症性プロファイルの関係を検討した。

 

結果

喘息患者気道における微生物の構成は、気道の好中球増加には関連せず、好酸球増加とマンニトールに対する気道過敏性と関連していた。

■ 好酸球が最も高い喘息患者群ではなく、好酸球が最も少ない喘息患者群における気道マイクロバイオームの構成は、健常者のマイクロバイオーム構成とは有意に異なるものだった。

■ 好酸球がもっとも少ない喘息患者は、細菌プロファイルが異なっていた。すなわち、ナイセリア、バクテロイデス属、Rothia種がより多く、Sphingomonas、Halomonas、Aeribacillus種がより少なかった

 

結論

好酸球性気道炎症は、喘息患者におけるマイクロバイオームのバリエーションと相関する。しかし、好中球性の気道炎症はマイクロバイオームのバリエーションと相関しない

■ これは、好酸性の喘息患者と非好酸球性の喘息患者に関係する分子経路において更なる研究の根拠となるだろう。

 

結局、何がわかった?

 ✅好酸球性の気道炎症は、気道の細菌のバリエーションに関連するが、好中球性気道炎症は関連しない。

 

 

 好酸球性炎症と好中球性炎症で、細菌叢が異なるようだ。

■ この辺りは、抗生剤が喘息治療に効果があるかもしれないという報告や、小児の慢性咳嗽の原因の一つとされている遷延性細菌性気管支炎と関連するかもしれません。

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今日のまとめ!

 ✅好酸球性炎症と好中球性炎症で、マイクロバイオームの関係に差があるようだ。

 

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