川崎病の急性期のアスピリンは、今より少なくても良いかもしれない

Dallaire F, et al. Aspirin Dose and Prevention of Coronary Abnormalities in Kawasaki Disease. Pediatrics 2017; 139.

この間、Twitterで教えていただいた話題です。

■ 先週から風邪気味で、咳がなかなか止まらなくて困っている、咳の患者さんをよく診察する医師です(-_-;)。麦門冬湯と蜂蜜アメでだいたい良くなるのですけど、結局外来をすると、喉を沢山使うので中々よくならないんですよね。ちなみに、麦門冬湯やハチミツは咳へのエビデンスがあります。

■ さて、川崎病は、近年増加していますが、ガンマグロブリン大量療法やステロイド薬・インフリキシマブなどの併用などで「対応できる」疾患になっています(死亡率がゼロではありませんが、極めて低くなりました)。

■ 一方、ガンマグロブリンに標準的に併用するアスピリンの使用量において、本邦では急性期が30〜50mg/kg/日、解熱後は 3〜5mg/kg/日となっています。一方で、海外では急性期が80~100mg/kg/日が基本の様です。

川崎病急性期治療のガイドライン

■ 投与量と冠動脈瘤に相関は明らかではないというメタアナリシスがあることもあり、今回ご紹介する研究では投与量を変えてランダム化比較試験が行われました。

 

 

 1213人の川崎病に対し、ガンマグロブリンに少量アスピリンもしくは標準量アスピリンを併用し、冠動脈異常の発生率を調べた。

背景

■ アセチルサリチル酸(Acetylsalicylic acid; ASA)は、川崎病(Kawasaki disease; KD)の推奨治療のひとつである。

■ しかし、ASAの最適な使用用量に関し、議論が未だに残されている。

■ 我々は、冠動脈(coronary artery; CA)異常の予防において、急性KDにおける抗血小板薬の用量におけるASAの非劣性を評価することを目的とした。

 

方法

■ この研究は多施設共同無作為化コホート研究である。

■ 2004年から2015年までの急性KD(0から10歳)が、5施設からリクルートされた。

■ そのうちの2施設は低用量ASA連日(1日3〜5mg / kg)、 3施設は高用量ASA連日(80mg / kg /日)が投与された。

アウトカムはは、CA径のzスコア≧2.5であると定義されるCA異常であった。

■ 我々は、ASA投与量に基づいてCA異常のリスク差を評価した。

■ すべての被験者は、発症10日以内にASAおよび静脈内免疫グロブリンが投与された。

 

結果

参加者1213人のうち、高用量ASA群848人、低用量ASA群365人だった。

低用量ASA群vs高用量ASA群を比較して、低用量におけるCA異常のリスクに差はなかった(22.2%対20.5%)

■ 潜在的交絡因子で調整されたリスク差は0.3%(95%信頼区間[CI]:-4.5%〜5.0%)だった。

■ 6週間のフォローアップ時に持続するCA異常の調整リスク差は、-1.9% (95%CI : -5.3%~1.5%)だった。

■ 交絡因子で調整されたCA異常のリスク差の95%CIは、非劣性であると考えられる5%マージン内だった。

 

結論

■ 静脈内免疫グロブリンと併用される、CA異常のリスクを低減するための急性KD治療における低用量ASAは、高用量ASAに劣らない。

 

結局、何がわかった?

 ✅川崎病治療に併用されるアスピリンは少量でも標準量でも冠動脈異常の発生率に有意差はなかった。

 

 

 

アスピリンの使用量に関しては、見直しが行われるかもしれない。

■ アスピリンは出血,喘息発作の誘発,肝機能障害などを誘発する可能性があり、特に肝機能異常はよく見受けられます(川崎病そのものの肝機能障害の場合も多いようです)。

■ その場合はフロベンに変更する場合が多いのですが、それにはエビデンスはありません。

■ アスピリンを減量するような方針も、今後考えられるのかもしれません。

 

 

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今日のまとめ!

 ✅川崎病急性期のアスピリンは少量でもいいかもしれない。

 

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