インフルエンザワクチンは、いつまで効果が持続するか?

Ferdinands JM, et al. Intraseason Waning of Influenza Vaccine Protection: Evidence From the US Influenza Vaccine Effectiveness Network, 2011–2012 Through 2014–2015. Clinical Infectious Diseases 2017;64:544-550.

 インフルエンザワクチンは、そのシーズン中に効果が落ちる?

■ インフルエンザワクチンシリーズの2回目です。

■ インフルエンザワクチンは長くとも1シーズンのみの効果持続ですと言う説明をするわけですが、最近は年によって流行時期がずれてしまい、予測が困ることがあります。

東京都感染症情報センターのHPから引用。

■ そうすると、「いつごろ接種がいいのでしょう?」とか、「早く接種しても、流行がずれても大丈夫でしょうか?」といった質問に答える必要が出てきます。

■ 実際、どれくらいワクチンの効果が続くものなのでしょう?

 

 

米国インフルエンザワクチン有効性ネットワークのデータから、ワクチン接種後の期間と、ワクチンの効果の関係を調査した。

背景

■ 最近の研究では、インフルエンザワクチンの有効性(vaccine efficacy;VE)がインフルエンザシーズン中に低下し、インフルエンザ流行期の後期にはVEが不十分になることが示唆されている

 

方法

■ 我々は、米国インフルエンザワクチン有効性ネットワーク(Influenza Vaccine Effectiveness Network)における、2011年〜2012年のインフルエンザシーズンから2014〜2015年までのインフルエンザシーズンにプールされたデータを用いて、インフルエンザにおけるVEと、急性呼吸器疾患に罹患した9歳以上の患者のワクチン接種以降の期間との関連性を調べた。

■ 我々は、ポリメラーゼ連鎖反応で確認されたインフルエンザ感染と、予後因子としてのワクチン接種と症状発現日の日数によって定義されるワクチン接種状況に対し、多変量ロジスティック回帰を実施した。

■ モデルは、カレンダー時間および他の潜在的交絡因子のために調整された。

 

結果

■ インフルエンザA(H3N2)が11200例、インフルエンザA(H1N1)pdm09が4100例、インフルエンザBが5525例の観察例が分析された。

インフルエンザA(H3N2)(P = .004)、インフルエンザA(H1N1)pdm09(P = .01)、インフルエンザBウイルス(P = 0.04)のワクチン接種からの時間により、VEが低下することが観察された

インフルエンザA(H3N2)およびインフルエンザBについて、VEは1か月あたり約7%、インフルエンザA(H1N1)pdm09については1か月あたり6%-11%低下した。

論文から引用。インフルエンザA型(H3N2)に対するVE。

 

論文から引用。インフルエンザA型(H1N1)pdm9に対するVE。

 

論文から引用。インフルエンザB型に対するVE。

 

■ VEは、イン​​フルエンザA(H1N1)pdm09およびインフルエンザBでは少なくとも6ヶ月間、インフルエンザA(H3N2)では少なくとも5ヶ月間、ゼロを上回った(有効だった)

■ 前シーズンにインフルエンザワクチンを接種している患者のVE低下はより顕著であった。

■ ワクチン接種者に限定した解析では、ワクチン接種後の時間が増加するに従い、インフルエンザ感染のリスクが増加するという同様のパターンが見られた。

 

結論

■ インフルエンザタイプ/サブタイプ全体にで、予防接種してからの時間が長くなるほどインフルエンザワクチンの予防が低下することが観察された。

■ この関連性は、ホスト(摂取されたひと)の免疫が、シーズン中に減弱するということに整合性があるが、バイアスまたは更なる交絡因子が、これらの発見を説明することができる。

 

結局、何がわかった?

 ✅インフルエンザワクチンの効果は、時間が経過するほど効果が低下し、イン​​フルエンザA(H1N1)pdm09およびインフルエンザBでは少なくとも6ヶ月間、インフルエンザA(H3N2)では少なくとも5ヶ月間で効果が減弱していく。

 

 

 インフルエンザワクチンの効果を考えながら流行を予測するのはなかなか難しい。

■ 当たり前かもしれませんが、ワクチンの効果は、ずっと横ばいからいきなりゼロに下がるのではなく、ゆっくり下がっていくことがわかりました。流行期の後半のほうが感染しやすいといえるかもしれません。

■ また、昨日ご紹介した研究結果では、前年インフルエンザワクチンは、翌年のワクチンに影響しないという結果でした。しかし、今回の結果は、ワクチンの持続効果という面では、むしろ前年のワクチン接種はマイナスと言える結果です。

■ 私としては意外に思える結果でしたが、繰り返すワクチン接種がインフルエンザワクチンに対する抗体反応を鈍らせる可能性があるとしているいう先行研究もあるそうです(Vaccine 2016; 34:981–8.)(Clin Vaccine Immunol 2011; 18:1401–5.)。

 

 

今日のまとめ!

 ✅インフルエンザワクチンの効果は、そのシーズン内でもゆっくり下がる。