
Keskin O, et al. The effect of montelukast on early life wheezing: a randomized, double‐blinded placebo‐controlled study. Pediatric Allergy and Immunology 2017. [Epub ahead of print]
シングレアを喘鳴をきたした乳児に短期使うのは正しいか?
■ ロイコトリエン拮抗薬は、「風邪には効かない」とされていますが、乳幼児期の喘鳴に短期で使用される場合があります。
■ そのプラクティスは、一般には否定されていたと考えていましたが、それを覆すようなランダム化比較試験が発表されました。
喘鳴症状のある3〜36ヶ月児100人を、モンテルカスト群またはプラセボ群にランダム化し、56日間観察した。
背景
■ システイニルロイコトリエンは、ウイルス関連の喘鳴を伴う乳児の気道において増加する。
■ 我々は、小児期早期の喘鳴症状に対するシステイニルロイコトリエン-1受容体拮抗薬の効果を確認し、この薬物に対する反応性に影響を及ぼす要因を調べることを目的とした。
方法
■ このプラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験は、喘鳴症状のある3〜36ヶ月児をリクルートし、56日間、モンテルカスト群またはプラセボ群にランダム化した。
■ 症状スコア日記(SSD)は、保護者によって記録された。
結果
■ 100人がこの研究を完了し、62人(モンテルカスト30人およびプラセボ32人)が解析された。
■ 両群において、無症状日数、症状スコア、サルブタモール使用の必要性に有意差はなかった。
■ しかし、第1週目の無症状日の割合は、モンテルカスト群はプラセボ群よりも有意に高かった(13.8±4.1% vs 5.4±3.4%; P = 0.028)。
論文より引用。無症状日数。
■ また、7日目の喘鳴スコアはプラセボ群よりもモンテルカスト群で有意に低かった(0.5±0.1対1.4±0.2; P = 0.002)。
■ さらに、最初の1週間の1日あたりのβ2刺激薬使用のエピソード数は、モンテルカスト群は、プラセボ群より有意に少なかった(12.7±1.8対19.2±1.6; P = 0.013)。
56日間の研究期間中の、(A)喘鳴率、(B)昼間のサルブタモールの必要とする率、(C)夜間のサルブタモールを必要とする率。
結論
■ 我々の結果は、小児期早期の喘鳴に対する第1週目の治療として、モンテルカストは、保護者によって観察された喘鳴やサルブタモールの必要性を低減するために有効である可能性を示している。
■ 保護者への影響や最適な治療期間は、より大きなサイズの研究で検討する必要がある。
結局、何がわかった?
✅喘鳴のある3歳未満児に関し、シングレアを56日間投与しても、無症状日数、症状スコア、気管支拡張薬の使用に有意差はなかった。
✅ただし、第1週目の無症状日、7日目の症状スコア、気管支拡張薬の使用数は、シングレア群のほうが少なかった。
ロイコトリエン拮抗薬は、低年齢児の喘鳴に短期的な効果があるのかもしれない。
■ 当然、シングレア細粒は喘息にしか適応はありませんので、日常的な「風邪」には保険上は使えません。
■ しかし、よく一般的なプラクティスではロイコトリエン拮抗薬が風邪に使われているようです。この検討でも、プライマリアウトカムではやはり否定されました。
■ しかし、セカンダリアウトカムでは逆の結果です。患者さんによっては考え直す必要があるかもしれませんね。
今日のまとめ!
✅ロイコトリエン拮抗薬は、乳幼児の喘鳴に短期的な効果があるかもしれない。