家庭の中で、チリダニが多い場所はどこか?

Sidenius, K. E., et al. House dust mites and their allergens at selected locations in the homes of house dust mite‐allergic patients. Clinical & Experimental Allergy, 2002, 32.9: 1299-1304.

ダニは吸入抗原の中でも重要なアレルゲンの一つ。

■ 少し古い文献ですが、環境中に存在するダニに関する報告は1990年代に行われているものが多く、思ったより新しい論文がありません。その中では新しい方でしょう。

■ アレルギー疾患に関するダニ抗原対策は良くお話をしますが、ダニが多い場所を把握することも重要と思います。

 

チリダニ類アレルギー患者8人の家庭10カ所からハウスダストを集め、チリダニ類アレルゲン量を調査した。

背景

■ 介入を計画する際には、家庭内でのチリダニ類(house dust mites; HDM)およびそのアレルゲンの発生に関する知識が重要です。

 

目的

■ この研究の目的は、新しく診断されたチリダニ類(HDM)アレルギー患者の、マットレスダスト中にDer 1濃度が高いことがわかっている家庭における複数の場所に介入する前に、HDMおよびそのアレルゲンの分布を記述することだった。

 

方法

チリダニ類(HDM)アレルギー患者8人の家庭の10カ所からハウスダストを集めた

■ ハウスダストに関し、ELISAを用いてDer f 1、Der p 1、Der m 1のアレルゲン含量について分析した。

総アレルゲン濃度(μgDer 1 / gダスト)は、Der f 1、Der p 1、Der m 1の合計として示された

 

結果

マットレスにおけるアレルゲン量の中央値はDer 1 86μg / g・ハウスダスト(範囲 30-288)およびチリダニ類 188μg / g・ハウスダスト(範囲 12-1910)であった。

■ Der 1は、マットレス(8/8)、羽毛布団/枕(3/8)、ベッドルームのカーペット(1/1)、リビングルームのカーペット(1/6)、布張り家具(2/8)、カーテン(1/5)で10μg/ g・ハウスダストを上回った

■ カーペットが敷かれていない床、布張り家具、本棚、壁は、マットレスよりもDer 1濃度が有意に低かった。

■ Der p 1、Der f 1、Der m 1のDer 1への相対的寄与は、場所よりも家庭ごとに関連していた。

■ Der m 1は微量でしか検出されなかった。

 

結論

チリダニ類(HDM)に対する介入には、マットレスに加え、カーペット、羽毛布団/枕、布張り家具からアレルゲン除去することに優先順位を与えるべきであることを示している。

■ 壁、カーペットのない床、本棚、カーテンからのハウスダストは、HDMアレルゲン負荷にはあまり寄与しないようである。

 

結局、何がわかった?

 ✅調査した8家庭のうち、(チリダニ類が多いと考えられる)ハウスダスト1gあたりのダニアレルゲン量 10μg/ を上回ったのは、マットレス(8/8)、羽毛布団/枕(3/8)、ベッドルームのカーペット(1/1)、リビングルームのカーペット(1/6)、布張り家具(2/8)、カーテン(1/5)だった。

 

 

チリダニ類は、環境抗原として多いが、環境整備は効果的に行う必要性がありそうだ。

■ 環境整備の介入試験では、効果は不十分という報告があります。

■ 一方で、事前にゴキブリが多い環境であることを調べてから介入した環境整備の介入試験では効果が示されています。

■ ネズミ駆除による環境整備介入試験でも、全体では有効性が認められなかったものの、抗原が大きく減った場合は、気管支拡張薬の使用量が減ったという結果にもなっています。

■ これらの結果から、吸入抗原につよく汚染されている環境では環境整備を行うことが重要と、私は考えています。そのためにも、「どこが強く汚染されやすいか」を知っておくことも重要と思います。

 

補足:ダニ対策動画を紹介いたします。

■ ダニ対策に関しては、環境再生保全機構が作成している動画が参考になるでしょう。エビデンスに必ずしも基づいているばかりではないかもしれませんが、ガイドラインの推奨に沿っていると思います。

 

見えない敵・ダニ (ダニ対策の実践1/6)

小児ぜん息の原因を探れ! (ダニ対策の実践2/6)

ダニの隠れ場所を突き止めろ! (ダニ対策の実践3/6)

ダニの弱点を探れ! (ダニ対策の実践4/6)

ダニ対策法の実践 (ダニ対策の実践5/6)

ダニ対策の効果 (ダニ対策の実践6/6)

 

 

 

今日のまとめ!

 ✅チリダニ類に対する環境整備介入には、マットレスに加え、カーペット、羽毛布団/枕、布張り家具からアレルゲン除去することに優先順位を与えるべきと思われる。

 

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