経皮感作の機序に関する報告。
■ 今回は基礎研究の結果ですが、とても重要な経皮感作の機序に関する、本邦からの報告。
■ 現在、注目されている論文の一つ。
Muto T, et al. The role of basophils and proallergic cytokines, TSLP and IL-33, in cutaneously sensitized food allergy. International immunology 2014; 26(10): 539-49.
食物抗原感作モデルマウスにおいて、経皮感作におけるサイトカインや好塩基球の役割を検討した。
背景
■ 摂取前の食物抗原による皮膚感作は食物アレルギーの発症を誘発する。
■ そこで、食物抗原で事前に感作したマウスモデルにおいて、好塩基球、前アレルギー性サイトカイン、thymic stromal lymphopoietin (TSLP)、IL-33に関する、部位および病期依存的な役割を報告する。
方法
■ マウスは、食物抗原オボアルブミン(OVA)で皮膚感作し、続いてOVAを経口投与した。
結果
■ 皮膚感作マウスは、OVA特異的IgEを産生し、経口投与後にIgE依存性アナフィラキシーを発症した。
■ 好塩基球欠損マウスまたはTSLP受容体欠損マウスは、OVA特異的IgEを産生せず、経口負荷によるアナフィラキシーから保護された。
■ IL-33欠損マウスはOVA特異的IgE抗体産生は正常だったが、IL-33欠損マウスと組換え型可溶性IL-33受容体で処理されたマウスは、アナフィラキシーから保護された。
結論
■ 好塩基球およびTSLPは、食物アレルギーの感作における皮膚のTh2発症に中心的役割を果たすことが示された。
■ 対照的に、IL-33は皮膚抗原感作を促進するために必要ではないが、IgE依存性アナフィラキシーを腸に誘発するために必須である。
結局、何がわかった?
経皮感作をモデルマウスにおいて、
✅好塩基球やTSLP受容体を欠損させたマウスは、オボアルブミン(卵蛋白)特異的IgE抗体を産生しなかった。
✅IL-33を欠損させたマウスでは、オボアルブミン特異的IgE抗体を産生しても、アナフィラキシーを起こさなかった。
経皮感作の機序を説明する報告として重要視されています。
■ TSLPに刺激された好塩基球が経皮感作を進めるということを証明し、さらにIL-33が食物アレルギー発症に関連するという、二重抗原曝露仮説の両方をモデル化した報告です。
今日のまとめ!
✅経皮感作には、TSLPに刺激された好塩基球が必要。
✅経口摂取による食物アレルギー発症には、IL-33が必要。