アトピー性皮膚炎に対する全身性ステロイド薬(外用ではなく、内服)は、一般に使用されているものの推奨はされていません。
■ ステロイド「外用」薬に関しては、「間欠的な」使用に関してのコンセンサスは得られていると言えます。
■ しかし、ステロイド「全身的な使用(内服など)」に関しては長期の使用は副作用が多岐にわたり、一般的には使用は避けられます。
■ そこで、専門家委員会で全身性ステロイド薬に対するコンセンサスの作成が試みられました。
Drucker A, et al. Use of systemic corticosteroids for atopic dermatitis: International Eczema Council consensus statement. British Journal of Dermatology 2018; 178(3): 768-75.
国際的な専門家の委員会で、アトピー性皮膚炎に対する全身性ステロイド薬の使用に関してコンセンサスの作成を試みた。
背景
■ ガイドラインは、アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)のための全身性ステロイドの使用を阻んでいるが、全身性ステロイドの使用は広範囲に使用されている。
目標
■ ADに対する全身性ステロイドの使用に関し、ADの専門家の国際的なグループにおけるコンセンサスに達すること。
方法
■ ビジュアルアナログスケール(VAS)を使用した「強く同意する」~「中立」~「強く反対する」までのステートメントからなるアンケートをInternational Eczema Council(IEC)で配布した。
■ 回答者の30%未満が「中立」~「強く反対」の左側に印を付けた場合、合意とした。
結果
■ IECメンバーのうち77名(78%)が参加した。
■ 全身性ステロイドは一般的に避けなければならないが、重要なライフイベントや最も重症なケースにおいて、急な紅斑に対する即時の改善にため、他の治療法がない、他の全身療法または光線療法への橋渡しのため、特定の状況下では重症ADにはまれに使用するなど、12のステートメントで合意に達した。
■ 使用される場合は、治療は短期間に限定されるべきである。
■ 回答者の大部分は、全身性ステロイドを小児に使用すべきではないと合意したが、このステートメントでは合意には達しなかった。
■ 専門家グループによる結論は、質の高い公表されたエビデンスの不足により制限されている。
■ もし、より厳格なコンセンサス基準が適用された場合(例えば、「強く反対」に印をつける回答者を20%未満を必要とする)、コンセンサスが合意に達するのはさらに少なかっただろう。
結論
■ IECの専門家の意見に基づき、ADに対する全身性コステロイドの日常的な使用は一般に推奨されておらず、特別な状況のために留保されるべきである。
結局、何がわかった?
✅アトピー性皮膚炎に対する全身性ステロイド薬に関し、重要なライフイベントや最も重症なケースにおいて、紅斑を速やかに改善するために、他の治療法がない、他の全身療法・光線療法への橋渡しのため、特定の状況下ではまれに重症患者に使用するなど、12のステートメントで合意に達した。
アトピー性皮膚炎に関し、全身性のステロイド薬は限定的な場面以外は避ける。
■ あくまで専門家の意見にすぎませんので、エビデンスレベルは低い報告ですが、専門家のなかでも、ステロイド内服は避けるべきと考えているといえましょう。
■ 特に現在はデュピルマブ(デュピクセント)も使用できる状況になってきていますので、重症アトピー性皮膚炎(成人に限りますが)に対する全身的治療の選択肢が増えています。
■ 「今週受験です」「今週イベントがあって写真を撮る」といった場合に考慮すべきケースが稀にありうるといったところでしょう。私は久しく使用していません。
今日のまとめ!
✅アトピー性皮膚炎に対するステロイド内服は、きわめて限られた場面のみに限定されるべきである。