乳アレルギー持続は、特異的IgEの経過で予測可能かもしれない

牛乳アレルギーの寛解を予測できるかを検討した報告をご紹介します。

■ 乳アレルギーは年齢が高くなるまでひっぱってしまうと、治療が難しくなることが多いです。

■ 一方で、乳アレルギーは自然寛解する可能性もあり、途中経過で予後を予測することができれば有用かもしれません。

■ そこで、経過中の寛解予測を検討した報告をご紹介いたします。

 

Koike Y, et al. Predictors of persistent milk allergy in children: a retrospective cohort study. International archives of allergy and immunology 2018; 175:177-80.

2005年に出生した小児92人に関し6年間フォローし、特異的IgE抗体価の経過が寛解を予測するかを検討した。

背景

■ 牛乳(Cow’s milk; CM)アレルギーは、日本では、乳児期に発症する食物アレルギーの中で2番目に多い。

■ 持続するCMアレルギーの予測因子を特定するために、即時型CMアレルギーと診断された6歳未満児に対する経口食物負荷試験に基づく耐性獲得率を調査した

 

方法

■ この後ろ向きコホート研究には、2005年に出生した131人の小児が含まれ、CMに対する即時アレルギー反応の病歴があった。

■ このうち39人は経口免疫療法の実施中(n = 18)または追跡データの欠損(n = 21)のため除外された。

■ 残りの92人の参加者が6年間追跡された。

■ 耐性は、CM200mLおよび家庭での定期的な牛乳摂取に対し有害反応がないと定義された。

■ グループI(3歳未満; n = 31)、グループII(3-6歳; n = 42)、グループIII(持続性アレルギー群; n = 19)の3群に分けられた 。

 

結果

■ 3歳、5歳、6歳の耐性獲得率はそれぞれ32.6%(92人中30人)、64.1%(92人中59人)、84.8%(92人中70人)だった。

初診時の年齢は、グループIIおよびグループIIIではグループIよりも有意に高かった(p <0.001)

■ 他の食物へのアナフィラキシーの発症率は、CMによるアナフィラキシー(p = 0.03)と同様、グループIよりもグループIIIにおいて高かった(p = 0.04)。

■ さらに、ミルクおよびカゼイン特異的IgE(IgE)抗体価は、グループIIよりもグループIIIで有意に高く、その後も高値を維持した(p <0.05)

 

結論

■ アナフィラキシーの経過および乳特異的IgE抗体価高値は、持続性CMアレルギーと関連していた。

 

結局、何がわかった?

 ✅初診時の年齢が高いほうが、寛解が少なかった。

 ✅ミルク・ガゼイン特異的IgE抗体価が高値で維持されると寛解が少なかった。

 

 

乳特異的IgE抗体価の数値の経過で、寛解が予測できるかもしれない。

■ 乳アレルギーは、もともと、乳特異的IgE抗体価が高値だと寛解が難しいことがわかっています。

■ この研究は、その後の経過で乳特異的IgE抗体価が下がってくるかどうかで寛解を予測できるといえましょう。

■ 個人的には皮膚状態がどうだったかが気になるところです。

 

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今日のまとめ!

 ✅年齢が高く、ミルク特異的IgE抗体価が高値を維持すると、寛解が少ないと推測される。

 

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