新生児期からのオイル塗布に関しては否定的な報告もある。
■ 新生児期からの保湿剤定期使用が、アトピー性皮膚炎の発症リスクを減らすことは一般的な事実になりつつあります。
■ 一方で、新生児期からのナチュラルオイル塗布が皮膚の成熟を遅らせる可能性があると報告されています。
■ ただ、ナチュラルオイルとはいえ、その種類によっても結果が異なるようです。
■ 今回は、早産児に対するヒマワリオイル塗布に関する報告。
Darmstadt GL, et al. Effect of skin barrier therapy on neonatal mortality rates in preterm infants in Bangladesh: a randomized, controlled, clinical trial. Pediatrics 2008; 121:522-9.
早産児(妊娠週数 33週以下; 497人)に対しヒマワリ種子オイルもしくはAquaphor軟膏の皮膚への塗布を行い、死亡率を比較した。
目的
■ 新生児期の皮膚バリア療法は、皮膚バリアが最も高度に危険にさらされ死亡のリスクが最大である場合、院内敗血症のリスクの低下といった多くの潜在的な利益があることが示されている。
■ バングラデシュの入院中の早産児の生存率を改善させる戦略として、皮膚バリア機能を強化する保湿剤の外用使用を評価した。
方法
■ バングラデシュ最大の第三次治療小児病院ダッカ・シシュウ小児病院の専門治療新生児室で、前向きランダム化対照臨床試験が計画された。
■ 早産児(妊娠週数 33週以下; 497人)は、ヒマワリ種子オイルもしくはAquaphor軟膏の皮膚への塗布を毎日実施された。
■ 新生児死亡率は、保湿剤療法を受けていない対照群とのITT解析で比較した。
結果
■ ヒマワリ種子オイルで処理した結果、皮膚への保湿剤塗布療法を受けていない児と比較して、死亡率が統計的に有意に26%低下した。
■ Aquaphor軟膏による介入は死亡率を32%も大幅に低下させた。
結論
■ 皮膚バリアを補強する保湿剤による介入は、バングラデシュにおける入院早産児の生存率を改善した。
■ この研究は、開発途上国におけるハイリスクの早産新生児の外用療法の実施についての強力なエビデンスを提供する。
結局、何がわかった?
✅ 新生児期からのヒマワリ種子オイルもしくはAquaphor軟膏塗布は、早産児の死亡率を低下させた。
発展途上国での早産児死亡リスクを、ヒマワリオイルやワセリンベースの保湿剤塗布で減らせるかもしれない。
■ Aquaphor軟膏は、ワセリンベースの市販の保湿剤で、ポピュラーな製品の様です。
■ 本邦で実施するとすれば、市販の保湿剤でもいいように思います。
今日のまとめ!
✅新生児期からのヒマワリオイルやワセリンベースの保湿剤塗布が、発展途上国での早産児死亡リスクを減らすかもしれない。