食物免疫療法において、毎日摂取と2日に1回摂取のどちらが有効で安全か?
■ 食物経口免疫療法は、「毎日」摂取をすすめる施設、1日おきや週2回摂取をすすめる施設などあります。
■ 私は基本的に『毎日』摂取をすすめていますが、その方が安定して増量できる印象を持っていたからです。
■ その根拠となるような情報が報告されましたのでご紹介いたします。
Martín‐Muñoz MF, et al. Egg OIT in clinical practice (SEICAP II): Maintenance patterns and desensitization state after normalizing the diet. Pediatric Allergy and Immunology 2018. [Epub ahead of print]
低温加熱殺菌卵 毎日摂取群、低温加熱殺菌卵2日に1回摂取群、卵を含まない食事群にランダム化し、経口免疫療法の効果と、脱感作達成後の経過を比較した。
背景
■ 経口免疫療法(oral immunotherapy; OIT)の終了後に脱感作状態を維持するために最も適切な維持パターンと卵摂取はよくわかっていない。
■ この多施設共ランダム化対照試験では、低温殺菌卵白(pasteurized egg white;PEW)による2種類のOIT維持パターンを比較し、OIT終了後の脱感作状態に対する卵摂取の影響を評価した。
方法
■ 卵アレルギーが確認された小児111人をランダム化した。
■ すなわち、25人は卵を含まない食事(egg‐free diet ; CG)摂取、76人はPEWによる(摂取群は)2種類の維持パターン、すなわち38人は3卵蛋白質 3.3 g毎日摂取(AG)、38人は2日に1回摂取(BG)だった。
BG群:低温加熱殺菌卵3.3g摂取 2日に1回
■ PEWによる経口負荷試験(DBPCFC)、有害事象、免疫マーカーを、試験開始時・OIT終了時・6ヶ月/12ヶ月後の任意の卵摂取により(T0、T12、T18、T24)評価した。
■ アンケートはT18で卵摂取量を評価した。
結果
■ T12において、AG群32人/BG群32人のうち、OIT患者が低温殺菌卵白によるDBPCFCをパスし脱感作に達したのはOIT群76人中64人(84.21%)(AG群32人、BG群32人)、CG群は25人中4人(16.00%)だった。
■ AG群 30人(93.75%) vs BG群 25人(78.12%)が1年間のOITを完了できた。
■ T18では、AG群 29人中27人(93.1%) vs BG群 24人中20人(83.3%)がPEW DBPCFCにパスし、96%が1週間に少なくとも2回の卵料理を摂取していた。
■ T24において、OIT患者の97.43%がDBPCFCをパスした。
■ 多くの患者に有害事象が認められ、BG患者でより頻繁に認めた。
■ この研究を通して、反応の頻度や重症度は減少した。
■ PEW皮膚プリックテスト膨疹径と血清sIgE抗体価はAG群、BG群において同様に低下したが、AG群はPEW sIgG4がより大きな増加を示した(P <0.05)。
結論
■ 毎日のOIT維持は、より優れたアドヒアランス、有効性、安全性を達成する。
■ そして、2日に1回の卵1人前料理摂取で、1年間のOIT終了後も脱感作を確実にする。
結局、何がわかった?
✅ 卵経口免疫療法1年間の継続に関し、毎日摂取群は93.75%、2日に1回摂取群は78.12%が完了できた。
✅ 毎日摂取群 93.1% vs 2日に1回摂取群 83.3%が卵経口負荷試験をクリアした。
✅ 2日に1回摂取群のほうが有害事象が多かった。
経口免疫療法は研究途上ですが、毎日摂取を励行したほうがよさそうだ。
■ 経口免疫療法は、摂取を継続する必要がありますが、この検討では毎日摂取がすすめられるという結果でした。
■ この研究のみで『毎日食べなければならない』とまでは言えないと思いますが、できるだけ頻回に摂取する理由にはなると思います。
■ さらに、特に年齢が長じてからの経口免疫療法は、「真の耐性」になっているかどうかは明らかになっておらず、継続的に摂取しておかないと多くの方がまた摂取できなくなると考えられています。
■ この食べられるようになってからのアプローチも様々です。何週間か中断して問題なければ自由な摂取を勧める場合や、摂取継続をすすめる施設まであります。
今日のまとめ!
✅ 卵経口免疫療法は、2日に1回摂取よりも毎日摂取のほうが、アドヒアランスが良好で、有効性・安全性も良いようだ。