以下、論文詳細と解説です
Kulthanan K, et al. Treatments of Cold Urticaria: A Systematic Review. J Allergy Clin Immunol 2019. [Epub ahead of print] PMID: 30776418
寒冷じんましんの治療に関し、16研究のシステマティックレビュー(9件はメタアナリシスの適格基準を満たした)を行った。
背景
■ 寒冷蕁麻疹(cold urticari; ColdU)に対する治療法はいくつかの選択肢が研究され報告されているが、システマティックレビューやメタアナリシスは限られている。
目的
■ ColdUの治療の有効性と安全性をメタアナリシスしレビューする。
方法
■ システマティックレビューおよびメタアナリシスの推奨報告項目(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses; PRISMA)の推奨事項に従った。
■ 適切な報告は、PubMed、Scopus、Web of Scienceを検索することによって特定された。
■ このシステマティックレビューには16研究が含まれ、そのうち9件はメタアナリシスの適格基準を満たした。
■ 臨界温度閾値(critical temperature thresholds; CTT)および許容刺激時間閾値(critical stimulation time thresholds; CSTT)、完全奏効率、有害事象に対する治療の効果を分析した。
結果
■ このプールされたメタアナリシスは、非鎮静性第二世代H1抗ヒスタミン薬(non-sedating, second-generation H1-antihistamines; nsAH)がColdUの治療に効果的であり、nsAHを増量することが標準用量もしくはプラセボと比較してCTTを有意に低下させることを示した。
■ CSTTを含む4研究では、nsAHの増量はまた、標準用量もしくはプラセボよりも有意に良いCSTTを示した。
■ オマリズマブは、H1-AH抵抗性の患者においてCTTの顕著な低下をもたらした。
■ 8研究における有害事象118件のうち、標準用量のnsAH、増量されたnsAH、オマリズマブは、第一世代のAHよりも有害事象が少なかった。
結論
■ この研究は、より高用量のnsAHがColdU症状の抑制において、標準投与量よりも効果的であることを示した。
■ 投与量の増量しても有害事象の発症率の増加と有意な関連はなかった。
■ オマリズマブ4週間ごとの150および300 mg投与は、AH抵抗性のColdU患者に有効であることが示された。
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寒冷じんましんに対し、標準量の非鎮静性抗ヒスタミン薬の有効性が不十分な場合は、増量もしくはオマリズマブが有効かもしれない。
■ 寒冷じんましんだからといって、一般的な慢性じんましんと治療が大幅に異なるわけではありません。
■ しかし、やはり抗ヒスタミン薬の増量は有効で、第一世代の抗ヒスタミン薬は副作用を増やすと言えそうです。一般的な慢性じんましんに関しても、第1世代の抗ヒスタミン薬の併用が有効とは言えません。
■ オマリズマブ(商品名ゾレア)は、成人ではすでに保険適応とはなっていますが、高価であることが問題です。
今日のまとめ!
✅ 寒冷じんましんに対する抗ヒスタミン薬増量やゾレアの有効性が示された。