以下、論文紹介と解説です。

Griffiths J, et al. Enteral lactoferrin supplementation for very preterm infants: a randomised placebo-controlled trial. The Lancet 2019; 393:423-33. PMID: 30635141

英国で出生した超未熟児を、1099人をラクトフェリン群、1104人を対照群にランダム化し、生後72時間以上で発生した感染症の発症頻度を比較した。

背景

■ 入院中に発症した感染症は、早産児の病的状態と死亡の重要な原因である。

■ いくつかの小規模試験では、超未熟児(出生時在胎期間が32週未満)の経腸栄養食にラクトフェリン(牛乳から加工された抗菌タンパク質)を補充することで、感染症やそれに伴う合併症を予防することが示唆されている。

■ この大規模なランダム化比較試験の目的は、先行研究のエビデンスの妥当性と適切度を高めるためにデータを収集することだった。

 

方法

■ 英国の37病院において実施されたこのランダム化プラセボ対照試験は、ランダム化時に生後72時間未満であり在胎週数32週以前に出生した超未熟児をリクルートした。

■ 除外基準は、重篤な先天性異常、14日以上にわたる絶食が予測されている、生存の現実的な見込みがないことだった。

■ 適格基準を満たした乳児は、月経後34週まで、ウシラクトフェリン(1日当たり150 mg / kg;最大300 mg /日;ラクトフェリン群1日1回またはショ糖(同用量;対照群)1日1回のいずれかの処方を受けるためにランダム化された(1:1)

■ Webベースの無作為化により、リクルートされた施設、在胎週数、性別、単胎児 vs 多胎児妊娠は最小限に抑えられた。

■ 両親、保護者、評価者は群の割り当てから盲検化された。

■ プライマリアウトカムは微生物学的に確認されたまたは臨床的に疑われた遅発感染症(生後72時間以上に発症)であった。

■ そして、これは2群間の95%CIで相対リスク比を計算することによりプライマリアウトカムデータが得られたすべての参加者において評価された。

■ 試験はInternational Standard Randomised Controlled Trial Number 88261002に登録されている。

 

結果

■ 2014年5月7日から2017年9月28日までに2203人の参加者がリクルートされ、そのうち1099人をラクトフェリン群、1104人を対照群とした。

■ 乳児4人が同意を撤回または未確認だった。そしてラクトフェリン群で1098人、ショ糖で1101人の乳児が残った。

■ 乳児2182人(ラクトフェリン群1098人中1093人[99.5%]、対照群の1101人中1089人[99.0%])のプライマリアウトカムデータが改良intention-to-treat解析の計算に利用可能だった。

介入群の1093人の乳児のうち316人(29%)が遅発性の感染があったのに対し、対照群は1089人の中334人(31%)が感染した。

■ 最小化関数について調整されたリスク比は0.95(95%CI 0.86–1.04; p = 0.233)だった。

■ 試験中、ラクトフェリン群の乳児には16件の重篤な有害事象があり、対照群の乳児には10件の重篤な有害事象があった。

■ ラクトフェリン群の2件の有害事象(血便1例および腸穿孔後の1例)は、介入に関連している可能性があると評価された。

 

解釈

ウシラクトフェリンの経腸栄養補充は、超早産児における遅発性の感染リスクを減少させない

■ これらのデータは、早産児における遅発性の感染やそれに伴う病的状態や死亡を予防するために日常的な使用を支持するものではない。

 

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超未熟児に対するラクトフェリンは、推奨できないとまとめられていた。

■ 先行研究におけるコクランシステマティックレビューでは、ラクトフェリンの有効性が指摘されています。

■ 大規模ランダム化比較試験で否定され、しかもラクトフェリンに起因する可能性のある有害事象が2例あることもあり、使いにくいのではないかな、、と思います。

 

今日のまとめ!

 ✅ 超未熟児に対するラクトフェリンは、遅発の感染症をへらす効果には乏しいようだ。

 

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