以下、論文紹介と解説です。

Wollenberg A, et al. Proactive treatment of atopic dermatitis in adults with 0.1% tacrolimus ointment. Allergy 2008; 63(6): 742-50.

成人アトピー性皮膚炎患者257人に対し、0.1%タクロリムス軟膏で寛解させた後、プロアクティブにタクロリムスを週2回塗布する群116人または基剤軟膏108人のいずれかにランダム化し、12ヶ月間の再燃を比較した。

背景

■ 低用量の間欠的な抗炎症外用剤を使用するアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis ; AD)の長期治療は、急性増悪をコントロールし、再発を予防する可能性がある。

■ この12ヶ月間の欧州における多施設ランダム化試験は、毎週2回塗布された0.1%タクロリムス軟膏をプロアクティブに使用することで、ADを寛解させ、症状の悪化(disease exacerbations; DE)の発生率を低下させることができるかどうかを調査した。

 

方法

■ 初期のオープンラベル期間中、AD患者257人は、0.1%タクロリムス軟膏を1日2回(b.i.d.)、最高6週間患部に塗布した。
Investigator Global Assessment(IGA)スコアが2以下が達成された場合、患者は疾患コントロール期間(disease control period; DCP)に入り、毎週2回、プロアクティブにタクロリムスを塗布する群116人または基剤軟膏108人のいずれか12ヶ月間にランダム化された。

■ 増悪時は、0.1%タクロリムス軟膏1日2回でIGA≦2が回復するまで治療し、再度、ランダム化された介入をを再開した。

■ 主要エンドポイントは、DCP期間中の実質的な治療的介入を必要とするDE数であった。

 

結果

プロアクティブに使用するタクロリムス0.1%軟膏の塗布は、実質的な治療介入を必要とするDE数を有意に減少させ(差の中央値 2; P <0.001;Wilcoxon rank sum test)、DEに対する治療日数率(差の中央値:15.2%; P <0.001; Wilcoxon rank sum test)も有意に減少させ、最初のDEまでの期間を延長した(中央値142対15日; P <0.001;stratified log-rank test))

■ 有害事象プロファイルは、2種類の治療アプローチで同程度だった。

 

結論

■ 週2回12ヶ月のプロアクティブなタクロリムス軟膏の使用は、多くの研究参加者においてADの増悪を予防し、延長、および少なくする有効な治療だった。

 

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プロアクティブ治療は有効。ただし、抗炎症薬の減量・中止は視野にいれて治療を継続するべきだと考える。

■ プロトピック軟膏に関しては、リンパ腫発生を懸念する向きもありますが,多くのレビューで否定されています。

■ しかし私は、抗炎症薬に関しては、出来る限り減らす、止めるを目標にするべき薬剤と思っていますので、保湿剤などを併用しつつ、減らす目標は持って治療したいと考えています。

 

今日のまとめ!

 ✅ プロトピック外用薬によるプロアクティブ治療は有効である。

 

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