以下、論文紹介と解説です。

Adams RJ, et al. Intranasal steroids and the risk of emergency department visits for asthma. Journal of allergy and clinical immunology 2002; 109:636-42.

5歳以上の喘息患者13,844人において、ステロイド点鼻薬や抗ヒスタミン薬内服が救急受診するリスクを低下させるかどうかを調査した。

背景

■ 喘息患者では、関連する症状(例えば鼻炎など)の治療が推奨される。

■ この治療が救急治療部(emergency department ;ED)への喘息による受診リスクを軽減できるかどうかは不明である。

 

目的

■ 喘息患者に対するステロイド点鼻薬または抗ヒスタミン薬による治療が、喘息に起因するED受診リスクの低下と関連しているかどうかを調査した。

 

方法

■ 1991年10月から1994年9月までに、電子カルテをから喘息と診断したと特定された5歳以上の医療管理機関における後ろ向きコホート研究を実施した。

■ 主なアウトカムの尺度は喘息によるED受診だった。

 

結果

適格であった13,844人のうち、1031人(7.4%)が喘息によるED受診をしていた。

■ 年齢、性別、経口・吸入ステロイド薬、β-アゴニスト使用頻度、喘息に対する外来診療の回数と種類、上気道状態(鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎)で調整された、ステロイド点鼻薬投与を受けた人のED受診の全体的な相対リスク(relative risk ; RR)は0.7(95%信頼区間[CI]、0.59-0.94)だった。

■ 抗ヒスタミン薬を投与されている人のリスクは不確定だった(RR 0.9; 95%CI 0.78-1.11)。

■ ステロイド点鼻薬処方に対する様々な率を調査したところ、、年間 0~1本でRR 0.7 (95%CI 0.57-0.99)であり、年間 3本以上で RR 0.5 (95% CI 0.23-1.05)のED受診リスクの減少が見られた。

ステロイド点鼻薬の年間処方量が多いほど、ぜん息発作による救急受診リスクが低下した(ただし、95%CIは1をまたぐ)

 

結論

鼻に対する治療、特にステロイド点鼻薬による治療は、喘息によりED受診につながる喘息増悪に対する有意な保護作用がある。

■ これらの結果は、喘息や上気道の状態がある人に対するステロイド点鼻薬の使用を支持している。

 

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古典的な報告であるものの、現在の治療にもつながる重要な視点です。

■ 「気管支」喘息の治療だからといって気管支ばかりに注意がいってしまい、吸入ステロイド薬を増やしがちです。

■ その前に鼻腔を観察して、アレルギー性鼻炎の治療をすると喘息のコントロールがずいぶん改善することをよく経験します

■ 気管支ばかりでなく鼻も診よう!というメッセージになる報告でしょう。

 

 

今日のまとめ!

 ✅ 気管支喘息治療において、アレルギー性鼻炎の治療も重要である。

 

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