以下、論文紹介と解説です。
Burgess JA, et al. Age at introduction to complementary solid food and food allergy and sensitization: a systematic review and meta-analysis. Clinical and experimental allergy 2019. [Epub ahead of print] PMID: 30861244
乳児期の補完食導入時期と、食物アレルギーの発症・感作の関連を検討したコホート研究16件、症例対照研究1件、ランダム化比較試験8件のメタアナリシスを実施した。
背景と目的
■ 乳児期の補完食導入時期が食物アレルギーの一因となる可能性がある。
■ そこで、乳製品を除く補完食の導入時の時期と、食物アレルギーと感作との関連に関する文献を統合することを目的とした。
試験デザイン
■ 固形食、アレルギー、感作という用語を用いて電子データベースであるPubMedとEMBASE(1946年1月 ~ 2017年2月)を検索した。
方法
■ 2名のレビュアーが選択基準に従って論文を選択し、コホート研究16件、症例対照研究1件、ランダム化比較試験(randomized controlled trial; RCT)8件を特定した。
■ ランダム効果メタアナリシスを使用し、研究中のプールされた効果を推定した。
結果
■ コホート研究 : 生後4ヵ月以上 vs 生後4ヵ月未満で補完食を導入することは食物アレルギーと関連していなかった(OR 1.22; 95%CI 0.76-1.96)が、食物感作とは関連していた(OR 1.93; 95%CI 1.57-2.38) 。
■ 生後4〜6ヵ月 vs 生後4ヵ月未満での初回曝露は食物アレルギーとは関連していなかった(OR 1.01; 95%CI 0.64-1.60)が、食物感作と関連した(OR 2.46; 95%CI 1.55-3.86)。
■ RCT : 生後4ヶ月の卵曝露は、卵アレルギーの発症低下(OR 0.63; 95%CI 0.44-0.90)と感作(OR 0.76; 95%CI 0.51-0.95)と関連していた。
■ ピーナッツ導入遅延と比較した生後4ヶ月からのピーナッツ曝露は、ピーナッツアレルギーの減少と関連していた(OR 0.28; 95%CI 0.14-0.57)。
結論
■ (コホート研究に関しては)生後4ヶ月より前に固形物を導入することが食物アレルギーの発症から保護するという観察研究からのエビデンスを見つけられなかったが、食物感作から保護するというエビデンスはあった。
■ RCTでは、卵を生後4〜6ヶ月、ピーナッツを生後4〜11ヶ月から導入することで、卵アレルギーやピーナッツアレルギー、卵過敏症のリスクが減少した。
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ピーナッツ・卵に関しては、離乳食早期開始がおおむね食物アレルギーの予防に働くことが固まりつつあるようだ。
■ すでに、卵に関してはメタアナリシスが報告されています。
■ さらに、ピーナッツに関しては決定版といえるLEAPスタディが発表されています。
■ 卵に関しては条件があると考えられるようになってきており、おそらくそのためにピーナッツの方が大きくオッズ比の低下にあらわれたのではないかと思われます。
■ まだまだ卵・ピーナッツ以外に関しての情報は少ないようです。
今日のまとめ!
✅ ランダム化比較試験では、卵を生後4〜6ヶ月、ピーナッツを生後4〜11ヶ月から導入することで、卵アレルギーやピーナッツアレルギーの発症リスクが低下することが示された。