以下、論文紹介と解説です。
Sørensen M, et al. Cross-reactivity in fish allergy: A double-blind, placebo-controlled food-challenge trial. Journal of Allergy and Clinical Immunology 2017; 140(4): 1170-2.
魚アレルギーがあり、魚アレルゲンに対する感作がある小児・青年35人の二重盲検食物負荷試験と魚たんぱく質に対する感作の関連を調査した。
研究の目的
■ 魚に対する臨床的反応性と魚のアレルゲンに対する免疫グロブリンEの反応性(感作)の相関関係を評価する。
調査対象集団
■ この研究には、医師が診断した魚アレルギーと魚アレルゲンに対する感作がある小児と青年35人が含まれた。
方法
■ 対象患者は、タラ 33人、サケ 28人、サバ 28人に対する二重盲検プラセボ対照食物負荷試験(double-blind, placebo-controlled food challenge; DBPCFC)を受けた。
■ 3種類すべての魚および魚のアレルゲン、パルブアルブミン、エノラーゼおよび/またはアルドラーゼに対する血清特異的免疫グロブリンE(sIgE)抗体価を測定した。
結果
■ DBPCFCに対し、24人(68%)の被験者が3種類すべての魚に対してアレルギー症状を示した(非寛容)、10人(29%)が1種類もしくは2種類の魚に対して何らかのアレルギー症状(部分寛容)、1人(3%)はすべてを寛容をを示した。
■ 部分寛容群のうち、7例はタラのみに客観的な症状があり、2例はサケのみに客観的症状があり、6例はタラおよびサケに客観的症状があり、4例はサバおよびサケに客観的症状があった。
論文より引用。それぞれの魚に対する反応性。
■ サバにしか反応しない人はいなかった。
■ ほぼすべての被験者が3種類すべての魚に対して検出可能なsIgE抗体価を示した。
■ パルブアルブミンとエノラーゼおよび/またはアルドラーゼに対するsIgE抗体価は、主にDBPCFCにより客観的所見がある患者に見られた。
■ すべての魚抽出物およびパルブアルブミン(エノラーゼおよび/またはアルドラーゼは除く)に対するsIgE抗体価は、非寛容であった患者で高かった。
■ タラ(> 8.2 Killiunits / L)およびサケ(> 5.0 Killiunits / L)に対する、より高いsIgE抗体価を使用すると、非寛容である患者の75%〜80%が同定された。
結論
■ 魚抽出物および魚アレルゲンに対するsIgE抗体価を組み合わせることにより、DBPCFCの結果は多くの患者で予測可能だった。
■ エノラーゼおよび/またはアルドラーゼへの感作は、本当の魚のアレルギーを表す可能性が最も高いので、食物負荷試験の必要性を排除するかもしれない。
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パルブアルブミンに対する反応性の重要性が高いことは事実だが、マイナー抗原に対する反応性にも注目するべきかもしれない。
■ 最近のレビューを見直しましたが、まだパルブアルブミンがメインであることは確かなようです。
■ ただ、エノラーゼおよび/またはアルドラーゼへの感作に特異度が高い(感度は低い)ということもこの結果からは予想できるかもしれません。
今日のまとめ!
✅ 魚アレルギーにおいて、パルブアルブミンに対する感作は有用だが、エノラーゼおよび/またはアルドラーゼに対する感作は特異度が高いかもしれない。