以下、論文紹介と解説です。

Thoonen BP, et al. Self-management of asthma in general practice, asthma control and quality of life: a randomised controlled trial. Thorax 2003; 58:30-6.

成人の喘息患者計214人を通常ケア群 104人、自己管理プログラム群 110人にランダム化し、2年間の治療効果を確認した。

背景

■ この研究は、一般診療における喘息自己管理の有効性を評価するために実施された。

 

方法

■ 一般診療を行う19施設が、通常ケア(usual care; UC)群または自己管理(self-management;SM)群にランダムに割り当てられた。

論文より引用。自己管理プログラム。

■ 喘息患者はGP診断の確認後、組み入れられた。

■ 追跡期間は2年だった。

■ 患者は6ヶ月ごとに日記カードを保管し、肺機能検査室を訪れた。

■ アウトカムはは、うまく治療されている週数、活動が制限された日数、喘息に特異的な生活の質、強制呼気1秒量( forced expiratory volume in 1 second ; FEV1)、FEV1の可逆性、20 %以上のFEV1低下を起こすヒスタミン濃度(PC20ヒスタミン)、吸入ステロイドの量だった。

 

結果

計214人がこの研究に含まれた(UC群 104人 / SM群 110人;一般診療を行う喘息患者の3分の1)

■ 62%は女性だった。

UC群における、患者1人当たりの治療に成功した率の週毎の平均は、SM群における78%(81/105週)と比較して72%(74/103週)だった(p = 0.003)

活動を制限された日数の平均はSM群で1.2(95%CI 0.5〜1.9)、UC群で3.9(95%CI 2.5〜5.4)だった。

■ 喘息の生活の質スコアの推定された増加は、UC群で1回の来院あたり0.10ポイント、SM群での1回の来院あたり0.21ポイントだった(p = 0.055)。

■ FEV1、FEV1の可逆性、PC20ヒスタミンは変化しなかった。

SM群を支持する、患者1人当たり吸入ステロイドが217puff節減が認められた(p <0.05)

 

結論

■ 自己管理は、喘息患者に認められる病気の負担を軽減し、少なくともオランダのプライマリケアで一般的に提供されている治療において効果的である。

■ 自己管理は吸入ステロイド薬による間欠的な治療の信頼できる基礎となる。

 

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ピークフローメータは喘息管理に有用と考えています。

ピークフローメータに基づく喘息治療はガイドラインにも明記されているものの、コクランシステマティックレビューでは、参考に出来る研究結果が少なく、十分な結論は出せないとされています (Toelle BG, Ram FS. Cochrane Database Syst Rev 2004:Cd002171.)。

■ 小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017では、治療目標のひとつを「ピークフローやスパイログラムがほぼ正常で安定している」を定めています。

■ 特に、吸入ステロイド薬の減量に有効であることを私は重要視しています。

■ ですので、回ご紹介した研究結果なども考慮し有効性はあると考え、私はピークフローメータはお勧めしています

 

※ピークフローメータは、「成人用」と「小児用」がありますので注意してください。

今日のまとめ!

 ✅ ピークフローを目安にした喘息管理は、喘息を安定させやすく吸入ステロイド薬を減量する効果が報告されている。

 

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