以下、論文紹介と解説です。
Rueter K, et al. Direct infant UV light exposure is associated with eczema and immune development. J Allergy Clin Immunol 2019; 143:1012-20.e2.
新生児195人をビタミンD内服群とプラセボ群にランダム化し、86人は紫外線測定のための紫外線線量計を身に着けさせたうえで、生後6ヶ月の湿疹発症率・喘鳴発症率・免疫機能を比較した。
背景
■ 免疫発達の重要期間中に最適以下のビタミンDは、工業化やより高い緯度に住むことに関連し、より高い率のアレルギー疾患の説明として浮上してきた。
目的
■ 出生後早期のビタミンD内服が小児期の湿疹や免疫発達に及ぼす影響を明らかにしようとした。
方法
■ 二重盲検ランダム化対照試験を用いて、新生児を生後6ヶ月までビタミンD内服群(400 IU /日)またはプラセボ群にランダム化した。
論文より引用。研究フローチャート。
■ 何人かの小児は直接の紫外線(290-380 nm)曝露を測定するために、個人用の紫外線線量計を身に着けていた。
紫外線は、波長によって UV-A(315~400nm)、UV-B(280~315nm)、UV-C(200~280nm)の 3 種類に分類されるのだそうです。
■ 小児のビタミンD値は、生後3ヶ月と6ヶ月で測定された。
■ 湿疹、喘鳴、免疫機能のアウトカムは生後6ヶ月に評価された。
結果
■ 生後3か月(P <0.01)と生後6か月(P = 0.02)では、ビタミンD内服群の方がプラセボ群よりもビタミンD値が高かったが、群間での湿疹の発生率に差はなかった。
■ 湿疹のある乳児(中央値 555 ジュール/m2 [J/m2; 四分位範囲 322-1210 J/m2])は、湿疹のない乳児(中央値 998 J/m2 [四分位範囲 676-1577 J/m2]).と比較して、紫外線曝露量が少なかった(P = .02)。
管理人注:紫外線線量計は全員ではなく、生後3ヶ月まで計86人の乳児が装着したようです。不適切使用が4人あり、検討は82人で実施(ビタミンD群 34人)。これらの82人の乳児で測定された総紫外線照射量の中央値は、生後0〜3ヶ月で952 J / m 2(IQR 557〜1577 J / m 2)であり、一般には顔、手、腕の露出で曝露されたそうです。
■ 紫外線曝露はまた、Toll様受容体リガンドに対するIL-2、GM-CSF、エオタキシン産生と逆相関した。
結論
■ この研究は、生後6ヶ月までに、小児期の直接紫外線曝露の増加と湿疹の発生率の減少と、炎症誘発性免疫マーカーとの関連性を実証した最初のものである。
■ この調査結果は、紫外線への曝露は、初期のアレルギー予防戦略としてビタミンD内服よりも有益であるように見えることを示す。
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ビタミンD内服でなく、紫外線曝露がアトピー性皮膚炎を予防する?
■ ビタミンD内服より、紫外線曝露がアトピー性皮膚炎発症予防に働くという結果でした。
■ しかし、だからといって日光浴を積極的にするかに関しては反対意見も大きいでしょう。
■ なぜなら紫外線曝露は皮膚の老化や皮膚癌の発症に関連するからです。
■ 論文内でも、乳児期の理想的な日光曝露量に関する研究がまだまだ必要であり、アレルギー性疾患が低下する利点と日光曝露による皮膚癌リスクを比較して検討していく必要があるとされていました。
■ しかも、この報告はビタミンD内服の有無でランダム化しているのであり、紫外線曝露量は二次解析に過ぎません。
■ この結果から、日光浴を強く推奨するかは、、、なかなか難しいといえそうです。ただし、興味深い結果です。
今日のまとめ!
✅ ビタミンD仮説は、ビタミンDそのものよりも紫外線曝露量に関連していたのかもしれない。