以下、論文紹介と解説です。
Moreno MA. Guidelines to Help Prevent Peanut Allergy. JAMA pediatrics 2017; 171:100-.
ピーナッツアレルギーを予防するためのガイドラインが求められている。
背景
■ ピーナッツアレルギーの小児は過去20年間で劇的に増加した。
■ アナフィラキシー、呼吸困難といった重症のアレルギー反応、致命的なアレルギー反応など、多くの食品関連の深刻なアレルギー反応はピーナッツに関連しているため、保護者は特に、ピーナッツアレルギーを心配するかもしれない。
■ ピーナッツアレルギーは一般的で非常に深刻なものになる可能性があるため、多くの保護者はピーナッツアレルギーを予防するためのガイドラインを求めている。
■ 過去20年間にわたる多くの研究は、ピーナッツアレルギーとそれを防ぐための最良の方法に焦点が集めていた。
■ この研究は家族のためのガイドラインに翻訳された。
■ そして、それは小児がいつピーナッツを食事に導入するのが最も安全であるかに主に焦点を合わせている。
■ 新しい研究が報告されているため、これらのガイドラインは研究から入手可能な最良のエビデンスを示すために更新された。
■ 今月のJAMA Pediatricsの記事において、これらのガイドラインと、そのガイドラインを通知した調査研究についてレビューしている。
古いガイドライン
■ ピーナッツアレルギーに関する最初のガイドラインは、約16年前に登場し、食物アレルギーのリスクがあると考えられていた小児に焦点を当てていた。
■ これには、アレルギー疾患に強く病歴を持つ近しい家族を持つ小児が含まれた。
■ その時点でのガイドラインは、妊娠中のピーナッツ摂取を避け、小児も3歳までピーナッツ曝露を避けることを提案した。
これらのガイドラインが変更された理由
■ これらのガイドラインが発表された後に行われた研究は、妊娠中にピーナッツを食べることが小児のピーナッツアレルギーのより低い危険と関連していたことを見いだした。
■ さらに、これらの研究は、乳幼児期にピーナッツを回避することとピーナッツアレルギーの予防に関係を見いださなかった。
現在のガイドライン
■ 現時点では、食物アレルギー予防に関するガイドラインは、妊娠中/授乳中のピーナッツ回避を支持していないため、母親は日常の食事において、ピーナッツを自分の好みの量で食べることに安心してよい。
■ さらに、ガイドラインはまだ、生後6ヶ月までの赤ちゃんが固形食の導入を避けることは支持しているが、保護者は生後6ヶ月以降であればいつでもピーナッツを用いた食品を導入することが可能である。
■ ピーナッツの食事への導入を遅らせることがピーナッツアレルギーを予防するということを支持する現在のエビデンスはない。
■ しかし、重症のアトピー性皮膚炎および/または卵アレルギーのある乳児といったハイリスクの乳児は、ピーナッツの導入がその乳児にとって有益であるかどうかを確認するために食物アレルギーテストを受けるべきである。
保護者にできること
■ あなたの子どもが過去にピーナッツに発疹や反応があった場合は、彼/彼女にピーナッツを再度与える前に小児科医に受診しましょう。
■ 前のセクションで説明したガイドラインは、ピーナッツアレルギーの予防に関するものであり、アレルギー症状を経験している可能性のある子どもの治療には適用していはいけない。
■ あなたの子どもがハイリスクのカテゴリー(強い食物アレルギーまたは重症のアトピー性皮膚炎のある家族をもつ子ども)にあるならば、あなたの子どもの食事にピーナッツを導入する前にアレルギーテストを必要とするかどうかを小児科医に尋ねましょう。
■ あなたの子どもが食物アレルギーやさらなる危険因子を持っていない場合は、生後6ヶ月後には食事にピーナッツを導入することを検討しましょう。
■ ただし、丸のピーナッツやピーナッツのかけらを与えることは、4歳未満の子供たちにとって危険であることを覚えておきましょう。ピーナッツバターやピーナッツが入っているその他の食品を検討しましょう。
リソース
Anvari S, Chokshi N, Kamili QA, Davis CM. Evolution of guidelines on peanut allergy and peanut introduction in infants [published online November 7, 2016]. JAMA Pediatr. doi:10.1001/jamapediatrics.2016.2552.
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ピーナッツの摂取開始を遅らせることは推奨されていませんが、粒で開始するのは危険であるため、ピーナッツバターなどでの開始が推奨されている。
■ ピーナッツを離乳食に早期導入することに関しては、LEAPスタディという研究が発端になっています。
■ そのLEAPスタディでは、「バンバ」というスナックが利用されていました。
■ 日本も「ピーナッツアレルギー発症予防に関するコンセンサスステートメント」に同意しており、日本小児アレルギー学会にそのステートメントが紹介されています。
ピーナッツアレルギー発症予防に関するコンセンサスステートメント -
Consensus Communication on Early Peanut Introduction and the Prevention of Peanut Allergy in High-Risk Infants - が発表されました。これは、日本アレルギー学会を含む世界の10の学会による声明です。以下に英文全文をご案内致しますのでご覧下さい。
■ 日本では、ピーナッツを離乳食として食べる文化がないので難しいところですが、私はピーナッツバターを少しずつ始めるようにお話をすることが多いです。
今日のまとめ!
✅ ピーナッツを離乳食へ導入する目安に関するガイドラインを紹介した。