以下、論文紹介と解説です。

Hillebrand GG, et al. Quantitative evaluation of skin condition in an epidemiological survey of females living in northern versus southern Japan. Journal of Dermatological Science 2001; 27:42-52.

鹿児島に住む女性300人と秋田に住む女性302人に関し、皮膚の状態を比較した。

背景・方法

■ 画像分析と生物物理学的方法を用いて、南日本に位置する鹿児島の300人と北日本にある秋田の302人いずれかでそれまでの全生涯を生活した5〜65歳の女性群の皮膚状態を比較した。

鹿児島は、秋田よりも年間で約1.5倍多くの紫外線UVBを受ける

■ この調査で使用された方法および対応する皮膚パラメータは以下の通りであった。

■ すなわち、顔の皮膚のしわおよび色素沈着についての顔の画像のコンピューター分析といった高解像度デジタル画像診断、顔面の皮膚表面の粗造(きめ)をみるためのモアレ干渉法によるシリコーン皮膚複写、日光に曝露されている(前額部)・日光に曝露されていない(上腕)の皮膚部位の肌の色(L * a * b *)をみるミノルタクロマメーター、前額部と前腕内側の皮膚静電容量(水分量)測定のためのCorneometer、前額部の皮脂排出率をみるSebumeter、頬部の皮膚温度をみるミノルタスポット体温計である。

 

結果

■ 秋田に住んでいる日本女性と比較し、鹿児島に住んでいる日本女性は長いしわ、しわの数、色素沈着の多い斑点、しみの数の増加、顔の肌の質感が粗く、前額部や上腕内側が黄ばみ、前頭部の色が濃く、頬部や腕の角質層の水分量が少なかった。

年齢で比較すると、平均40歳の鹿児島の女性は48歳の秋田の女性と同レベルの顔のしわであり、北方に住むのは8歳の遅れだった

■ 顔面の色素沈着の遅延は16年だった。

平均40歳の鹿児島の女性は、56歳の秋田の女性と同レベルの顔面の色素沈着だった

 

結論

■ 結果は、日光曝露による皮膚の障害効果を証明するものであり、日頃の日焼け防止を推進するための公衆衛生教育において有用かもしれない。

 

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光老化を示唆した報告といえましょう。

■ 光老化に関する報告は少なくなく、以前、20年以上配送トラックを運転していて左右の紫外線量が異なるために顔のシワなどの左右差が出現したという報告をご紹介しました。

■ 今回の報告において、ここまでの差が年間でUVB量が約1.5倍で発生するならば、計算上はSPF 1.5のサンスクリーン剤を使用すればよいということになります

■ SPFが高ければよいというわけでもなく、塗り重ねが大事ということかもしれませんね。

 

今日のまとめ!

 ✅日本の中でも、緯度により光老化の違いがあるかもしれない。しかし、実際の紫外線量は1.5倍程度であり、サンスクリーンの使用が推奨できるということだろう。

 

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