以下、論文紹介と解説です。

Liendo VL, et al. Topical tacrolimus for the treatment of severe allergic keratoconjunctivitis in children. Arquivos brasileiros de oftalmologia 2017; 80(4): 211-4.

重症アレルギー性結膜炎のある33人に対しタクロリムス軟膏(0.03%)を使用し、眼の症状スコアを確認した。

目的

■ アレルギー性角結膜炎の治療のための抗ヒスタミン薬またはクロモグリク酸ナトリウム、その誘導体を含有する点眼剤の投与はしばしば不十分であり、通常ステロイドの追加を必要とする。

■ しかし、緑内障や白内障などの合併症の危険性があるため、ステロイドの使用は短期間に限定され、長期にわたる治療反応が不十分になりえる。

■ 免疫抑制薬はアトピー性角結膜炎や春季カタルに対するステロイドの有効な代替薬と思われる。

■ この研究は、小児における重症アレルギー性角結膜炎の臨床的徴候を改善する際のタクロリムス外用薬(topical tacrolimus; TCL)を評価することを目的とした。

 

方法

■ 従来の抗アレルギー外用薬に対し再発歴や抵抗性の病歴があり、角膜上皮障害、ゼラチン様角膜輪部浸潤、および/または乳頭状反応を伴う重症のアレルギー性角結膜炎をこの臨床試験に含めた。

■ 患者は眼科用に0.03%TCL軟膏を使用された。

■ TCL治療の前後に顕微鏡検査で観察された徴候に基づいて、0〜9の範囲の重症度スコア(最高9、最低0)を割り当てた。

 

結果

■ 分析は33人(眼66個)を含んでいた

13ヶ月の平均追跡期間(範囲12〜29ヶ月)の後、TCL治療は、右側(5.56 ± 1.18 から 2.76 ± 1.5; p<0.001)および左側 (5.94 ± 1.16 から 2.86 ± 1.64; p<0.001)まで、重症度の平均症状スコアを有意に減少させた。

 

結論

■ TCL外用薬は効果的であり、小児におけるアレルギー性角結膜炎の臨床徴候を有意に改善した。

■ したがって、TCL外用薬は、眼アレルギーの重症かつ困難な症例に対する潜在的に新しいオプション治療である。

 

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この報告は、眼の中にプロトピック外用を塗るという方法を推奨するわけではなく、眼の周囲へのプロトピック外用を塗る場合の安全性を説明する場合につかうものでしょう。

■ 繰り返しになりますが、この方法は、すでにタリムス点眼液がある現場では一般的な治療方法とはいえません。

■ 眼にプロトピック外用薬が入っても、「刺激感があるからであってとても危険だからではない」というインフォメーションに使用するような報告と言えましょう。

 

 

今日のまとめ!

 ✅プロトピック外用薬を眼球に塗ると重症アレルギー性結膜炎を改善させるという報告があるが、タリムス点眼液がある現在、プロトピック外用薬が眼に入ってしまってもリスクが高いわけではないという理由付けとして活用する結果と思われる。

 

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