以下、論文紹介と解説です。
Turner P, et al. Seafood allergy in children: a descriptive study. Ann Allergy Asthma Immunol 2011; 106:494-501.
魚介類アレルギーのある小児167人において、その特徴を検討した。
背景
■ 食物アレルギーと魚介類(魚類、軟体動物、甲殻類)の摂取量は過去40年間に相当増加した。
■ 魚介類アレルギーは現在、米国とオーストラリアの両方でアナフィラキシーの主要原因である。
■ しかし魚介類アレルギーの臨床症状と管理について説明した公表されたデータは限られている。
目的
■ 魚介類アレルギーにおける、小児の大規模コホートの特徴を説明する。
方法
■ 後向きにカルテをレビューし、2006~2009年に魚介類に対するアレルギー反応で三次アレルギー病院を受診したすべての小児に関するデータを集めた。
結果
■ 小児167人に、魚介類に対する明確な臨床反応のの病歴および/または食物負荷試験陽性(男児103人[62%])があった。
■ 94%にはアレルギー疾患が併存している証拠があった。
■ 最も一般的な関与した海産物はエビだった。
■ 1/5に魚介類に対するアナフィラキシーの既往があった。
■ 小児の甲殻類アレルギーの50%以上が、甲殻類ではない魚類に耐性があった。
■ 魚アレルギーの小児では、他の魚種への感作が非常に多く、1/3が少なくとも2種への臨床反応を報告し、16%は蒸気を吸引した際の症状があった。
■ マグロおよび/またはサケにアレルギーのある小児において、少なくとも21%は缶詰の魚に耐性があった。
結論
■ 魚介類はオーストラリアの小児における食物アレルギーの比較的一般的で重要な原因であり、アナフィラキシーを示す確率が高い。
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缶詰を摂取できる場合があるものの、それほど高率とはいえないかもしれない。
■ 魚アレルギーの診断や対応は決して簡単ではありません。
■ 一方で、出汁まで除去となると生活の質が大きく下がるため、対応に迫られるケースがあります。
■ 魚は多少加熱した程度ではアレルゲン性はほとんどさがらない一方で、水溶性のタンパク質が原因になりやすいため、「水さらし」の工程があるちくわやカマボコでは抗原性が低めになるとされています。
■ しかし、「どれくらいの確率で」を示すことはなかなか難しそうです。
今日のまとめ!
✅ 魚アレルギーはアナフィラキシーの既往が多く、缶詰が摂取できるのは2割程度だった。