以下、論文紹介と解説です。

Su JC, et al. Determining Effects of Superfine Sheep wool in INfantile Eczema (DESSINE): a randomized paediatric crossover study. Br J Dermatol 2017; 177:125-33.

生後4週~3歳の軽症から中等症のアトピー性皮膚炎患者39人に対し、超微細メリノウールによる衣服と綿の衣服による影響をクロスオーバー試験で確認した。

背景

■ 限られたエビデンスにもかかわらず、毛織物は伝統的にアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)患者が避けるべき刺激物であると考えられてきた。

■ しかし、羊毛繊維にはさまざまな太さがあり、熱力学的および水分輸送特性に優れている。

 

目的

■ 本研究では、軽症~中等症ADの参加者の症状に対する超微細メリノウールの効果を調べた。

 

方法

■ 本試験は、生後4週~3歳の軽症から中等症のAD患者39人を対象とした12週間のランダム化評価者盲検クロスオーバー前向きコホート研究であり、超微細なメリノウール織物と両親が選んだ標準的な綿の衣類とを比較した。

■ 参加者を羊毛製または綿製衣服に割り当て、6週間、3週間毎に評価し、さらに他の衣服材料を着るためにクロスオーバーし同様に6週間、3週間毎に評価した。

■ プライマリエンドポイントは6週毎のSCORing Atopic Dermatitis (SCORAD) 指数でありセカンダリエンドポイントはAtopic Dermatitis Severity Index (ADSI)、Infants' Dermatitis Quality Of Life Index (IDQOL)、ステロイド外用薬の使用だった。

 

結果

■ 全体として、試験開始時と比較し超微細な羊毛織物は、綿の織物と比較してSCORADが3週間で平均2.5 (95%信頼区間(CI) -4.7~-0.4)、6週間で平均7.6 (95% CI -10.4から-4.8)減少した。

■ 同期間にADSIおよびIDQOLスコアにおいて同様の変化が観察された。

■ 体幹のステロイド使用も減少した。

■ 逆、羊毛から綿への織物を変更するとスコアが増加した。

 

結論

■ 超微細メリノウールは小児ADの管理に役立つ可能性がある。

 

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羊毛そのものがアトピー性皮膚炎の悪化要因になるわけではないようだ。

■ ではどう考えるかに関する詳細な考察はnoteでご覧いただければと思いますが、衣服ひとつとっても、色々考えなければならないなあと思います。

 

今日のまとめ!

 ✅ 一般に羊毛はアトピー性皮膚炎の悪化に働くと思われているが、超極細メリノウールは綿よりもアトピー性皮膚炎を改善させた。

 

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