以下、論文紹介と解説です。

Amat F, et al. Early-onset atopic dermatitis in children: which are the phenotypes at risk of asthma? Results from the ORCA cohort. PLoS One 2015; 10:e0131369.

出生コホート試験に参加し、早期発症のアトピー性皮膚炎がある乳児 214人に関し、喘息につながりやすいアトピー性皮膚炎のフェノタイプをクラスター解析した。

背景

アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis; AD)は、喘息および他のアトピー性疾患よりも前から存在することが知られており、「アトピーマーチ」という用語で記載される。

■ しかしこの古典的な順序は常に存在するわけではなく、喘息発症リスクのある小児を対象とした研究はほとんどない

■ 本研究の目的は、喘息につながる早期発症ADのフェノタイプを定義することだった。

 

方法

■ ORCAコホート試験に前向きに登録された早期発症ADの乳児 214人において、9変数によるクラスター解析を実施し、6歳までの喘息の発症について毎年追跡した。

 

結果

■ 3つのクラスターが同定された。

■ クラスター1 (94人)は、食物 (27.7%)や吸入アレルゲン(10.6%)に対する感作が低いもしくは感作がない、また「感作のひくいAD」と呼ばれる中等症のAD重症度(スコア25.29+/-14.6)のクラスターだった。

■ クラスター2 (84人)は、ADの重症度がより高く (スコア32.66+/-16.6)、食物 (98.9%)または吸入アレルゲン(26.2%)にしばしば感作されていることを特徴とする(最も可能性が高いのは食物アレルゲンであり96.4%)「多抗原感作を伴うAD」である。

■ クラスター3 (36人)は、親の病歴、中等症のAD重症度 (スコア24.46+/-15.7)があり、吸入アレルゲンへの感作はなく食物アレルゲン(38.9%)に対する中程度の感作率がある(おおくはシングルアレルゲンに対する感作)、「喘息の家族歴を有するAD」と呼ばれる吸入アレルゲンへの感作を特徴とする。

■ 6歳時の喘息罹患率はクラスタ2と3で高かった(それぞれ36.1%および33.3% vs クラスター1で14.9%; p<0.01)。

 

結論

■ 早期発症ADの乳児における2種類のフェノタイプは、小児期に喘息を発症するリスクが高いことを示している。

■ 多抗原感作や喘息家族歴である。

 

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同じアトピーマーチとしても、さまざまなルートがあるようだ。

■ 皮膚感作をきっかけとしてアトピーマーチを起こしやすい、そのルート以外にも、さまざまなルートが有るのかもしれません。

■ 最近、アトピー性皮膚炎がアレルギー疾患だけでなく全身性疾患に関連する報告が増えており、単純化できないかもしれない可能性も強くなってきました。

■ しかし、感作が低い場合は喘息の持続がすくないわけですし、感作をへらすためにスキンケアはやはり必要だろうとも思っています。

 

 

今日のまとめ!

  ✅気管支喘息につながりやすい早期発症アトピー性皮膚炎のクラスターが3種類同定された。

 

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