以下、論文紹介と解説です。

van der Hulst AE, et al. Risk of developing asthma in young children with atopic eczema: a systematic review. J Allergy Clin Immunol 2007; 120:565-9.

前向きコホート研究13件(出生コホート研究4件、アトピー性皮膚炎コホート研究9件)における、4歳までのアトピー性皮膚炎と6歳以降での喘息発症リスクを検討した。

背景

■ 早期発症型のアトピー性皮膚炎の乳児および幼児の大多数は、小児期の後半で喘息を発症すると一般に考えられている。

■ この考えは主に横断的集団研究に基づいている。

■ しかし最近のエビデンスは,早期の湿疹と喘息のより複雑な関係を示唆している。

 

目的

■ このシステマティックレビューは、生後4年間のアトピー性皮膚炎の小児における喘息発症リスクを評価するために実施された。

 

方法

■ このトピックに関するすべてのプロスペクティブコホート研究を特定するため、感度の高い検索が実施された。

■ 適格な報告をプールすることにより、生後4年間のアトピー性皮膚炎のある小児が、6歳以上で喘息を発症するリスクを計算した。

 

結果

前向きコホート研究13件が含まれており、4件は出生コホート研究、9件はアトピー性皮膚炎コホート研究だった。

■ 出生コホート研究における、アトピー性皮膚炎のない小児と比較したアトピー性皮膚炎後の喘息リスクのオッズ比は2.14(95% CI、1.67-2.75)だった。

■ アトピー性皮膚炎コホート研究における6歳時の喘息有病率は、入院患者で35.8%(95%CI 32.2%~39.9%)、入院患者と外来患者を合わせた群でも29.5%(95%CI 28.2%~32.7%)だった。

 

結論

■ 乳幼児期ののアトピー性皮膚炎後に喘息を発症するリスクは高くなるものの、小児期の後半に喘息を発症するのは3人に1人である。

■ これは、以前想定されていたよりも低い値である。

 

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アトピー性皮膚炎を発症したからと言って、喘息を発症するとは限らない。ただし、そのリスクは高くなるようだ。

■ 4歳までにアトピー性皮膚炎を発症しても、その後6歳以降で喘息を発症するのは3割に過ぎないという結果でした。

■ ただし、感作やアトピー性皮膚炎の重症度が高くなると、その確率は高くなることも、その後の研究で報告されています。

■ 感作がなければ、その後の喘息を発症するリスクは差がないという報告があります。

■ 経皮感作がそのルートと言えるかもしれません。

■ さらに一方で、感作が先→ アトピー性皮膚炎など多様な経過も報告されたりするようになっており、アトピー性皮膚炎が全身性疾患のリスクになることもわかってきてから、アトピー→他のアレルギー疾患という図式ばかりではないことがわかってきています。

■ どちらにせよ、アトピー性皮膚炎を発症しても、半数以上は喘息を発症しないと考えながら、早めに軽症化させるのがよいように思われます。

 

今日のまとめ!

 ✅ 4歳までにアトピー性皮膚炎を発症しても、6歳以降で喘息を発症するには3割程度にすぎない。

 

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