以下、論文紹介と解説です。
Smolinski KN, Yan AC. How and when to treat molluscum contagiosum and warts in children. Pediatr Ann 2005; 34:211-21.
伝染性軟属腫や疣贅に対する基本方針。
■ 疣贅および伝染性軟属腫は小児によくみられる皮膚疾患であり、通常自然治癒する。
■ 軟属腫や疣贅の小児を治療するかどうかの決定は、患者やその家族に個別に行うべきである。
■ 考慮すべき事項には、病変がどの程度病的であるか、病変の範囲や期間、患児と親が治療の推奨に耐え遵守する能力があるか、また、基礎疾患がある。
■ 伝染性軟属腫および特に疣贅の再発は一般的であり、治療を開始する前に治療失敗および再発の可能性に関する現実的な期待について小児およびその家族と話し合うべきである。
■ われわれはみな小児開業医として、患者の身体的および心理的発達と、この発達に影響を及ぼすさまざまな介入の可能性について、よく認識している。
■ 現在、これらのウイルス性疾患の治療には様々な治療法が存在するが、どのような介入に関してもこれらの考慮すべき点に対しバランスをとるべきである。
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伝染性軟属腫(水いぼ)は、現状、短期間で改善させるための標準的な治療はない。その認識の上で予後の情報を共有して治療選択肢を選ぶ必要がある。
■ 水いぼ治療に、短期的に治癒させるような標準的な外用・内服治療は現状ではないといえましょう。
■ ですので、予後の情報を共有した上で、その先の治療を選択していく必要があります。
■ イメージとして、1か月で1割、半年で半数(報告により1年で半数)、2年で9割、といったところが、私の中での軽快までのまとめですが、アトピー性皮膚炎があると播種して手が付けられなくなることが多いのです。
■ ですので、アトピー性皮膚炎の治療や保湿剤の使用による皮膚の安定は重要と考えています。
■ すなわち、基礎疾患や家族の状況・お考えなどを考慮せずに「摘除しなければ」「摘除してはいけない」の2択になってしまうことは慎むべきと考えています。
■ もちろん難しい問題であることは間違いありません。
今日のまとめ!
✅ 水いぼの治療を開始する前に、治療失敗の可能性・再発の可能性に関し、見通しを話し合うべきと思われる。