以下、論文紹介と解説です。

Eichenfield LF, Bieber T. Infections in Dupilumab Clinical Trials in Atopic Dermatitis: A Comprehensive Pooled Analysis. Am J Clin Dermatol. 2019.. [Epub ahead of print]

デュピルマブにより感染症のリスクに影響するかを確認した研究に参加した中等症以上のアトピー性皮膚炎2932人に関して検討した。

背景

■ 中等症から重症のアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)患者は,皮膚感染症や全身感染症といった感染リスクが高い。

■ 免疫調整薬(例えば、抗TNF、抗インターロイキン[抗IL]-23、抗IL-17、ヤヌスキナーゼ阻害剤)は感染のリスクを高める。

■ デュピルマブ(IL-4/IL-13に対する共通の受容体を遮断するモノクローナル抗体)は、コントロール不十分な中等症から重症のADや、中等症から重症の好酸球性/経口ステロイド依存性喘息に対して承認されている。

 

目的

■ 本研究の目的は,中等症から重症のAD患者における感染症の確率に対するデュピルマブの影響を明らかにすることだった。

 

方法

■ この解析では、中等症から重症のADのある成人を対象としたランダム化プラセボ対照デュピルマブにおける試験7件のデータを結合した。

■ Exposure-adjusted analyses により感染率を評価した。

 

結果

2932人のうち、1091人がプラセボを投与され、1095人が週あたりデュピルマブ300mgを、746人が2週間ごとのデュピルマブ300mgを投与された。

■ 治療群の感染率は100患者・1年当たり全体で同程度(プラセボ 155; デュピルマブ毎週 150; 2週間毎のデュピルマブ 156; デュピルマブ結合 152)であり、皮膚以外の感染率も同程度であった。

■ デュピルマブにより、細菌性および他の非ヘルペス性皮膚感染症(リスク比0.44; p<0.001)と同様、危険なもしくは重篤な感染症(リスク比0.43;p<0.05)は減少した。

■ 全体的なヘルペスウイルス感染率はプラセボ群よりデュピズマブ群の方がわずかに高かったが、臨床的に重要なヘルペスウイルス感染(疱疹性湿疹,帯状疱疹)はデュピズマブ群で少なかった(リスク比0.31;p<0.01)。

■ 全身的な抗感染薬の使用はデュピルマブ群の方が少なかった。

 

結論

■ デュピルマブは、中等症から重症のAD患者における危険な/重篤な感染症および非ヘルペス性皮膚感染症のリスク低下と関連しており、プラセボと比較して全体的な感染率を上昇させることはない。

 

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デュピルマブは、皮膚感染症や細菌感染症のリスクを減らす可能性がある。

■ デュピルマブは、潜在的に「寄生虫感染」を悪化させる可能性がありますが、その点に関してはいまのところ報告はないようです。

■ おそらく、皮膚の安定に従って感染症が減るのでしょう。

■ アトピー性皮膚炎は、皮膚だけでなく他の全身感染症のリスクをあげることが先行研究で明らかになっており、全身感染症も減らすのは納得できる結果でもあります。

 

 

今日のまとめ!

 ✅ デュピルマブは、皮膚感染症・重篤な感染症を減らすようだ。

 

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