以下、論文紹介と解説です。

Lee E, et al. Atopic dermatitis phenotype with early onset and high serum IL-13 is linked to the new development of bronchial hyperresponsiveness in school children. Allergy 2016; 71:692-700.

6~8歳のアトピー性皮膚炎児 242人に関し、そのフェノタイプを特定して喘息発症しやすい群の特徴を調査した。

背景

アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis; AD)は不均一な臨床スペクトルにより特徴付けられており、ADのタイプにはアレルギーマーチの初期のステップと関連していることがある。

■ 本研究の目的は、学童期におけるADフェノタイプを決定し、各クラスターにおけるアレルギーマーチとの関連を検討することだった。

 

方法

■ Children's Hellth and Environmental Research study、すなわち2年ごとの調査間隔で4年間の前向き追跡研究に参加した、現在ADのある 242人(6~8歳)を対象とした。

■ 潜在的クラス分析が用いられた。

■ 登録時の血清IL‐13、thymic stromal lymphopoietin (TSLP)をELISAを用いて測定した。

 

結果

■ 「低アトピー性の早期発症群 」(26.4%;グループ1)、「アトピー性が高く好酸球が高い早期発症群 」(48.3%;グループ2)、「アトピー性の低い遅発型群 」(9.9%;グループ3),、「アトピー性が高く、正常な好酸球である遅発型群 」(15.3%;グループ4)として特徴づけられる、現在ADである小児における4種類のADフェノタイプを特定した。

■ グループ2とグループ4はアレルギー体質の負担が高いことを示したが、グループ2はADと好酸球増加が持続しており、追跡期間中に気管支過敏と喘息症状の新規発症リスクが高かった

血清IL-13は、早期発症AD群で有意に増加したが、血清TSLP濃度は全4群で有意差はなかった。

 

結論

■ アレルギーマーチに関連したADフェノタイプは、持続性のあるADの早期発症、血清IL-13増加、アトピー性が高く、持続的な血中好酸球割合の増加を特徴とする。

 

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アトピー性皮膚炎がその後のアレルギー疾患を増やすことは確かなようだが、そのフェノタイプも様々ある。

IL-13は、アレルギーを悪化させるサイトカイン(細胞から細胞への情報伝達物質)として有名で、アトピー性皮膚炎が悪化するとどんどん増えて、さらに皮膚のバリアも下げてしまうこともわかっています。

■ 繰り返しになるかもしれませんが、皮膚の炎症を長引かせないことが大事だろうと改めて感じました。

 

 

今日のまとめ!

 ✅小児期のアトピー性皮膚炎がその後の喘息発症リスクをあげるといえる結果ではあるが、IL-13(アレルギーを悪化させるサイトカイン)が高くなっているとそのリスクを予測することが示された。

 

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