以下、論文紹介と解説です。

Wang AL, et al. Remission of persistent childhood asthma: Early predictors of adult outcomes. J Allergy Clin Immunol 2019; 143:1752-9.e6.

気管支喘息の小児879人(試験登録時8.8±2.1歳)に関し、成人になるまでに喘息が寛解する要因を検討した。

背景

■ 北米における、成人の早期までの喘息寛解予測因子に関するデータは、ほとんどない。

 

目的

■ 成人の喘息寛解予測因子を、軽症から中等症の持続性小児喘息患者を多民族集団において確認した。

 

方法

■ 成人期早期の喘息寛解は2つの定義、すなわち、臨床的定義および厳密な定義を用いて測定した。

■ 両方の定義に、肺機能正常、症状、増悪、薬物使用がないが含まれた。

■ 厳密な定義には、正常な気道反応性も含まれていた。

■ 予測因子は、多変量ロジスティック回帰を用いて試験開始時の23の測定結果から特定した。

■ 寛解の確率は決定木解析を用いてモデル化した。

 

結果

879人の参加者において、試験開始時のの年齢(平均±SD)は、8.8±2.1歳であり、59.4%が男性、68.7%が白人だった。

成人期までに、参加者879人中229人(26.0%)は臨床的寛解にあり、参加者741人中111人(15.0%)は厳密な寛解に至った。

FEV1/努力肺活量(FVC)比の障害程度は喘息寛解の最大予測因子だった。

■ 試験開始時のFEV1/FVC比が90%以上であった男児の半数以上、女児の2/3が成人期に寛解した。

気道反応性の低下も、寛解定義両方の予測因子だった(臨床的寛解のオッズ比 1.23 [95% CI 1.09-1.39]; 厳密な寛解のオッズ比 1.52[95% CI 1.26-1.84])。

■ 試験開始時におけるFEV1/FVC比、気道反応性、血清好酸球数が正常の組み合わせは、成人期までに80%を超える寛解をもたらした。

 

結論

持続性小児喘息患者のうち、成人期までに寛解するのは少数である。

■ 試験開始時の肺機能をはじめとする喘息寛解の臨床的予後指標は、早期から認められる。

 

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小児期の喘息に関し、肺機能が低下している場合は寛解する可能性が低くなる。

■ すでに同様の先行研究がありますが、小児期から呼吸機能が低下していれば喘息の寛解は少なくなってしまうといえるようです。

■ 初期治療が寛解を誘導するかはPAC研究、IFWIN研究などでは望みが少ないという結果が導かれていますが、これらは環境要因がよろしくなかったという指摘もあり、私は早期治療により予後を変えることはある程度できるのではないかと考えています。

■ そして実際に、そのことを示すような報告も出始めています。

 

今日のまとめ!

 ✅ 小児期の喘息時に、すでに呼吸機能低下を示している場合は、成人まで寛解しない可能性が高くなる。

 

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