以下、論文紹介と解説です。
Woolner K, Sauder M. Periorbital erythema following alcohol ingestion during treatment with topical tacrolimus. CMAJ 2016; 188:368-.
プロトピック外用薬使用中に飲酒30分後に、目の周囲に軽度の灼熱感を伴う紅斑を呈した32歳男性の症例報告。
症例
■ 0.1%タクロリムス軟膏(0.5 gを1日2回1週間塗布)により眼瞼皮膚炎の治療を受けていた32歳男性が、アルコール飲料を摂取した30分後に軽度の灼熱感を伴う眼周囲紅斑を呈した(図1)。
■ 紅斑は塗布部位に限定されており、1~2時間以内に軽快した。
論文より引用。飲酒中の目の周囲の紅斑。
考察
■ タクロリムス軟膏はカルシニューリン阻害剤の外用剤であり、成人(0.03%および0.1%)及び2歳以上の小児(0.03%)のアトピー性皮膚炎に対するセカンドラインの治療、また、紅斑予防のための維持療法に承認されている。
■ ステロイド外用薬の使用は皮膚を菲薄化させることがあるが、タクロリムス外用薬は皮膚萎縮を誘発しないため、眼瞼や間擦部位の治療に使用されるためは有利である。
■ 皮膚炎、乾癬、白斑、扁平苔癬といった、他の病因に対するタクロリムスの適応外使用に関してもエビデンスがある。
■ タクロリムスの使用において使用部位に発現する最も一般的な有害事象は灼熱感、そう痒、紅斑(通常は持続時間は短く、数分から数時間)である。
■ 患者は典型的には、連続して使用する際の最初の数日以内に耐性を獲得する。
■ 場合によっては、軟膏を冷蔵して冷やして使用すると、灼熱感を克服できることがある。
■ タクロリムスの外用使用された中等症から重症のアトピー性皮膚炎の成人患者631人を対象とした二つのランダム化二重盲検多施設研究において、0.1%軟膏(209例)で治療された群では、アルコール不耐性(皮膚の紅潮、発赤、灼熱感)が6.9%報告されている。
■ この相互作用は良く報告されているが、臨床現場では広く認識されていないかもしれない。
■ この症例は,タクロリムス外用の連続した使用とアルコール摂取との相互作用で予想される短時間の灼熱感について、患者にカウンセリングすることの重要性が考えられる。
■ これらの有害事象は危険ではなく、数時間以内に改善することを患者にアドバイスすることを提案する。
■ あるいは、患者はタクロリムス外用での治療中のアルコール摂取を控えることを選択してもよいだろう。
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プロトピック外用を、冷蔵庫で冷やすと刺激が減る?
■ 飲酒は小児ではないと思いますが、軟膏を冷蔵して冷やして使用すると灼熱感を克服できることがあるという記載が興味深く、小児でも応用できるかもしれません。
今日のまとめ!
✅ 飲酒中にプロトピック軟膏を眼瞼周囲に塗布すると紅斑が出現することがあり、軟膏を冷蔵庫で冷やすと軽減するかもしれない。