以下、論文紹介と解説です。
Dick S, et al. A systematic review of associations between environmental exposures and development of asthma in children aged up to 9 years. BMJ Open 2014; 4:e006554.
環境曝露と小児期の喘息発症との関連を説明している文献のシステマティックレビューを実施した。
目的
■ 小児喘息は多くの環境因子が原因となる複雑な病態である。
■ 本研究の目的は、環境曝露と小児期の喘息発症との関連を説明している文献のシステマティックレビューを完成することであった。
セッティング
■ 研究チームが合意したキーワードを用いて、2013年11月までの文献のシステマティックレビューを実施した。
■ 抄録をスクリーニングし、適格である可能性のある論文をレビューした。
■ 曝露と既にある喘息の増悪との関連を記載した論文は含めなかった。
■ 論文は次の事前に定義されたカテゴリーに分類された。
■ 受動喫煙(secondhand smoke; SHS)、吸入された化学物質、湿気の多い住居/カビ、吸入アレルゲン、大気汚染、家庭内燃焼、食事の曝露、呼吸器ウイルス感染、薬剤。
参加者
■ 9歳までの小児。
プライマリアウトカム
■ 診断された喘息および喘鳴。
結果
■ 抄録14,691本が同定され、207論文がレビューされ、135の論文が本レビューに含まれ、そのうち15本はシステマティックレビュー、6本はメタアナリシス、14本が介入研究だった。
■ SHSへの曝露、吸入された化学物質、カビ、大気汚染物質、母体の食事の不足、呼吸器系ウイルスと、喘息のリスク増加とを結びつける、矛盾のないエビデンスがあった(ORは概して1.5~2.0増加した)。
■ ペットへの曝露、授乳・乳児の食事への曝露と喘息リスクとの関連を示す一貫したエビデンスはあまりなく、また、乳幼児期における抗生物質とパラセタモールへの曝露には矛盾のない関連性が認められたが、これらの関連性は逆の因果関係を反映している可能性もあった。
■ ダニ(独立して)への曝露は、喘息の発症リスクと関連していないという良好なエビデンスがあった。
■ 観察研究および介入研究から得られたエビデンスは、曝露間の相互作用が喘息の原因として重要であることを示唆しており、その作用の大きさは通常1.5~3.0だった。
結論
■ 環境曝露と若年期における喘息リスクのわずかな変化との関連性を報告している多くの報告があり、このレビューは、リスクをさらに増加させる曝露間の複雑な相互作用を強調している。
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ダニに関しては、日本のようにダニに強く汚染されている地域の場合には逆の結果になる可能性があります。
■ いまのところ、ダニに対しての環境整備が喘息発症を減らすというエビデンスはないとされていますが、これはダニに対する汚染度が低い国も含めての話です。
■ 日本で同じような結果になるかどうかは不明ですし、私は油断できないのではないかと考えています。
■ さらに最近の報告では、「汚染度が多い環境では有効かもしれない」という報告もみられるようになっているからです。
今日のまとめ!
✅ 乳幼児期の環境要因と、喘息発症の関連に関するシステマティックレビューが発表されていた。まださらに環境要因に関しては検討を要する。