以下、論文紹介と解説です。

Bath-Hextall F, Delamere FM, Williams HC. Dietary exclusions for improving established atopic eczema in adults and children: systematic review. Allergy 2009; 64:258-64.

診断が確定したアトピー性皮膚炎の治療における食物除去の効果を評価した研究9件(421人)のシステマティックレビューを実施した。

背景・方法

■ アトピー性皮膚炎は、先進国において小児期に最もよくみられる炎症性皮膚疾患である。

■ 診断が確定したアトピー性皮膚炎の治療における、食物除去の効果を評価するために,ランダム化比較試験のシステマティックレビューを行った。

 

結果

9件の試験(421名)が含まれていたが、そのほとんどの報告は不十分であった。

■ 6報告は卵および乳除去の検討(n=288)、1報告は少数の食物除去の研究(n=85)、2研究は成分栄養の研究(n=48)だった。

■ アトピー性皮膚炎における無作為に抽出された参加者では、卵・乳除去食の有益性はないようだった。

■ 無作為に抽出されたアトピー性皮膚炎の症例では、成分栄養剤や少数の食物への制限に有益性があるというエビデンスもなかった。

■ 卵特異的IgE抗体陽性の卵アレルギーが疑われる乳児に卵制限食を用いることには、ある程度の有益性があると思われた。

1研究では、51%の小児が、通常の食事と比較して除去食により、湿疹面積が有意に改善し(95% CI 1.07-2.11)、湿疹面積の変化および重症度スコアが6週間後(MD 5.5、95% CI 0.19-10.81)および治療終了時(MD 6.1,95% CI 0.06-12.14)に通常食と比較して除去食有意に改善したことが示された

 

結論

■ 除去食がしばしば用いられるにも関わらず、アトピー性皮膚炎における除去食の使用を支持する良好なエビデンスはほとんどない

 

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アトピー性皮膚炎に対する除去食に関し、エビデンスは乏しい。

■ もちろん、エビデンスが乏しいから効果がないと申し上げたいわけではありませんが、過剰な除去食は「かえって食べられなくなる可能性」も指摘されています。

■ 諸刃の剣であること、そしてその効果に関してはエビデンスには乏しいことを認識した上で除去に踏み切る必要性があるでしょう。

 

 

今日のまとめ!

 ✅ アトピー性皮膚炎に対する除去食の有効性は、十分なエビデンスはなさそうだ。

 

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