以下、論文紹介と解説です。

Ascott A, et al. Atopic eczema and major cardiovascular outcomes: A systematic review and meta-analysis of population-based studies. J Allergy Clin Immunol 2019; 143:1821-9.

アトピー性皮膚炎と心血管疾患の関連を評価する集団ベースの研究19件のシステマティックレビューを実施した。

背景

■ アトピー性皮膚炎は一般的な炎症性皮膚疾患である。

■ 様々な炎症性疾患が、世界的な死亡率や罹病率の主な原因である心血管疾患と関連している。

 

目的

■ アトピー性皮膚炎と特定の心血管転帰との関連を評価する集団ベースの研究をシステマティックレビューし、メタアナリシスすることを試みた。

 

方法

■ MEDLINE、Embase、Global Healthを開始から2017年12月まで検索し、ランダム効果メタ分析を用いてプール推定値を得た。

■ 著者らは、多変量ベイズメタ回帰モデルを用いて、アトピー性皮膚炎の重症度が増えると心血管転帰に及ぼす影響が大きくなるかを推定した。

 

結果

■ 関連研究19件が含まれた。

横断研究で報告されたアトピー性皮膚炎の影響は不均一であり、狭心症、心筋梗塞、心不全、脳卒中との統合された関連のエビデンスはなかった

■ コホート研究では、アトピー性皮膚炎は心筋梗塞 (n = 4; relative risk [RR] 1.12; 95% CI 1.00-1.25)、脳卒中 (n = 4; RR 1.10; 95% CI, 1.03-1.17)、虚血性脳卒中 n = 4; RR 1.17; 95% CI 1.14-1.20)、狭心症(n = 2; RR 1.18; 95% CI 1.13-1.24)、心不全 (n = 2; RR 1.26; 95% CI 1.05-1.51)のリスク増加に関連していた

■ 心筋梗塞と脳卒中の予測間隔は広かった。

心血管転帰のリスクは、アトピー性皮膚炎の重症度の増加に伴い増加するようだった(重症度分類間の平均RR増加1.15; 95%信頼区間 1.09-1.21; 不確実区間 1.04-1.28)

 

結論

■ 心血管転帰との有意な関連はコホート研究でより一般的であったものの、研究ごとの不均一性はかなり高かった。

■ アトピー性皮膚炎の重症度が高くなることは、心血管転帰のリスク増加と関連していた。

■ この小さいが重要な関連性に関する利害関係者の間の認識の向上が必要である。

 

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アトピー性皮膚炎が、「アレルギー疾患以外」との関連があるかもしれないという報告が増えている。

■ アトピー性皮膚炎が他のアレルギー疾患の発症リスクをあげることは明らかになってきています。

■ 一方で、アトピー性皮膚炎がアレルギー疾患以外の疾患との関連があるという報告もまた、増えて来ており注目されています。

■ ただし、この「関連」がどちらが原因で結果かかは、現状でははっきりしていません。

■ さらに、この報告でもわかるように、そのリスクの上昇はそれほど大きなものではありませんから、普段の診療で実感できるほどではないでしょう。

■ とはいえ、今、我々としてできることは「アトピー性皮膚炎の重症度をより低下させること」でしょう。

 

 

今日のまとめ!

 ✅ アトピー性皮膚炎の重症度と心血管疾患には関連があるかもしれない。

 

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