以下、論文紹介と解説です。

Sandhu JK, et al. Association Between Atopic Dermatitis and Suicidality: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Dermatol 2018.[Epub ahead of print]

アトピー性皮膚炎と自殺の関連を検討した15研究(計4770767人)に関し、システマティックレビューを実施した。

重要

アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis;AD)は、多数の精神的な合併症を伴う慢性炎症性皮膚疾患である。

■ しかし、ADと自殺の関係は十分に確立されていない。

 

目的

■ ADと自殺の関連性を評価するために利用可能な文献を総合すること。

 

情報ソース

■ このプロトコルはPROSPEROデータベース(CRD42018105291)に前向きに登録された。

 

試験の選択

■ PRISMAガイドラインに従って、PubMed、Embase、PsycINFO、Cochraneデータベースを、1946年から2018年5月25日までに出版された関連する論文に対しシステマティックに検索した。

■ PubMedの検索基準は、(皮膚炎、アトピー性 [MeSH] OR 湿疹 [MeSH]) AND (自殺念慮[MeSH] OR 自殺、未遂[MeSH] OR 自殺[MeSH]OR 自殺傾向 OR 自殺行動)だった。

■ Embase、PsycINFO、Cochraneの検索条件は、(アトピー性皮膚炎 OR 湿疹)AND(自殺念慮、自殺企図、自殺、自殺傾向、自殺行動)だった。

 

データの抽出と合成

■ 学術的医療環境で行われたこのシステマティックレビューおよびメタアナリシスには、自殺念慮、自殺未遂、AD患者の自殺未遂を評価する観察研究が含まれた。

 

主な結果と測定

■ 含まれる研究の質は、観察研究のためにNewcastle-Ottawa Scaleを用いて評価された。

 

結果

■ 分析により、計4770767人の参加者を含む15研究が特定され、そのうち310681人がAD患者(女性52.7%)であり、4460086人が対照として用いられた(女性50.9%)

■ メタアナリシスでは、AD患者は自殺念慮を示す可能性が44%高く(プールされたオッズ比1.44; 95%CI 1.25-1.65)、自殺を試みる可能性が36%高かった(プールされたオッズ比1.36; 95% CI 1.09-1.70

※初稿で上記太字の数値が誤植していました。お詫びして修正いたします。

■ AD患者における自殺既遂例を調査した研究では、一貫した結果が得られなかった。

 

結論と妥当性

■ この研究の結果は、AD患者が自殺念慮および自殺企図の危険性が有意に高いことを示唆している。

■ 皮膚科医はこのリスクを認識し、AD患者の自殺傾向をスクリーニングして必要に応じ精神保健へ紹介をすることが重要である。

 

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アトピー性皮膚炎の治療を、より丁寧にしていくべきだろうと思います。

■ アトピー性皮膚炎は、そのひとの人生に大きな影を落とす可能性があると言えるでしょう。

■ 私は小児科医ですので、より成人まで持ち越さないように、治療に関わっていきたいと思います。

 

 

今日のまとめ!

 ✅ アトピー性皮膚炎は、自殺の可能性をあげるかもしれない。

 

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