以下、論文紹介と解説です。

Nilsson SF, et al. Relevance of low specific IgE levels to egg, milk and peanut in infancy. Clinical & Experimental Allergy 2019; 49:308-16.

前向き出生コホート研究であるALADINコホート研究に参加した372人に関し、生後6か月における低レベルの感作(0.1~0.34 kU/L)が、その後のアレルギー疾患の発症に関連しているかを評価した。

背景

■ IgEによる感作は、通常、アレルギー疾患と関連しているが、無症状の人にも起こる可能性がある。

■ 乳幼児期における0.1‐0.34 kU/Lの間のIgE抗体価と、アレルギー発症の関連における臨床的重要性は十分に評価されていない。

 

目的

■ 生後6か月の鶏卵、牛乳、ピーナッツに対する特異的IgE(s‐IgE)に対する低い感作と、幼児期の感作やアレルギー疾患発症との関連性を評価する。

 

方法

■ プロスペクティブなALADINコホートに参加した小児から、生後6か月、1、2、5歳時に採取した血液サンプルから、アレルゲン特異的s‐IgE抗体価を、感作なし(0.1 kU/L未満)、低感作(0.1~0.34 kU/L)、感作あり(≧0.35 kU/L)の三種類のカテゴリーに分け、アレルギー疾患を評価した。

 

結果

■ 372人を本研究に含めた。

生後6か月の感作のない小児と比較し、生後6か月の食物アレルゲン、特に卵に対する低レベルのアレルゲン特異的IgE抗体価(0.1~0.34 kU/L)のある小児は、5歳時における吸入アレルゲンに対する感作と関連していた(14人中10人(71%) vs 250人中39人(15%))

■ さらに、生後6ヵ月に卵や牛乳に低感作されていた小児は、同じアレルゲンに1歳時に感作されていることが多く、卵に低感作されていると湿疹(18人中6人(33%) vs 292人中29人(10%))の発症に関連した。

 

結論と臨床的意義

■ 乳児期の食物アレルゲンに対する0.1‐0.34 kU/LのIgE抗体価があると、吸入アレルゲンに対する感作の可能性を増加させ、卵への低レベルの感作も、乳幼児期の湿疹も増加させるようである。

■ したがって、生後1歳までのIgE抗体価は、0.35 kU/L未満であっても、さらなるアレルギーに関連した予後の情報を提供する可能性がある。

 

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「0.1-0.34kU/L以下」は「陰性」と評価されるものの、「気をつけて見ていく必要がある」とはいえるかもしれない。

■ この報告に関しては、感作と湿疹の時間関係が十分に評価できているかどうかです。

■ すでに湿疹を発症しているお子さんの方が、はやく感作される可能性が高いと考えられますので、湿疹の評価が不十分であれば、湿疹→感作の進行になっているのを、低レベルの感作→感作の進行・湿疹の発症に評価してしまう可能性があります。

■ とはいえ、特異的IgE抗体価が、「0.1-0.34kU/L以下」は「陰性」と評価されるものの、「気をつけて見ていく必要がある」とはいえそうです。

 

 

今日のまとめ!

 ✅ 乳児期の低レベルの卵感作(0.1-0.34kU/L以下)は、その後の明らかな卵感作(≧0.35kU/L)や吸入抗原感作を予測するかもしれない。

 

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