以下、論文紹介と解説です。

Hamed A, et al. Nasal IgE production in allergic rhinitis: Impact of rhinovirus infection. Clin Exp Allergy. 2019; 49:847-52.

アレルギーおよび非アレルギーの参加者の、鼻腔におけるIgE産生と、それがライノウイルスにより増強されるかを調査した。

背景

ライノウイルス(Rhinovirus; RV)感染は部分的にアレルギー状態を増強することにより喘息を悪化させるが、これらの悪化は抗IgE抗体の投与により軽減できる。

 

目的

■ アレルギーおよび非アレルギーの参加者の、鼻腔におけるIgE産生を調べ、これがRVにより増強されるかどうかを評価した。

 

方法

■ 特異的IgE抗体の局所的な産生は、鼻と血清サンプルの総IgE濃度と特異的IgE濃度の比を比較することにより測定した。

■ 最初の研究は、アレルギーおよび非アレルギー性呼吸器疾患のため救急部に来院した参加者で実施した。

■ 次に、アレルギー性の集団における鼻腔のsIgE産生に対するRV感染の影響を実験的に検討した。

 

結果

アレルギー患者の30.3%にDermatophagoides pteronyssinus(ヤケヒョウヒダニ)、14.6%にBlomia tropicalis(ネッタイタマニクダニ)に対する局所的なsIgE産生の証拠があった

■ 非アレルギーの参加者は局所的なIgE産生を示唆しなかった。

RV感染している被験者は、局所的なsIgE産生をする可能性が2倍以上(45% vs 14%)であり、局所的なsIgEが産生されている被験者は喘息増悪がおこる可能性が3倍以上高かった

■ 実験的なRV感染は局所的なsIgE産生を誘導できた。

 

結論

■ これらの研究は、アレルギー患者の多くにおける局所的なIgE産生を確認し、局所的なIgE産生のあるアレルギー性喘息患者は、RV感染時に喘息増悪を発症する可能性が高いことを示している。

 

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ライノウイルス感染したときに、喘息が悪化する理由を示唆する報告でしょう。

■ ライノウイルスが、喘息発作を来すことはよく知られた事実ですが、喘息発作そのものが、ダニに対する感作を強く進めることが最近報告されています。

■ これらが、オマリズマブ(ゾレア)により防ぐことから、「ライノウイルス感染時に喘息増悪を防ぐ」機序が判明してきたと言えるでしょう。

 

 

今日のまとめ!

 ✅ ライノウイルス感染時に、鼻腔ではダニに対する特異的IgE抗体が産生され、喘息の悪化に関連しているようだ。

 

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