以下、論文紹介と解説です。

Amat F, et al. New insights into the phenotypes of atopic dermatitis linked with allergies and asthma in children: An overview. Clinical & Experimental Allergy 2018; 48:919-34.

乳幼児期早期に発症するアトピー性皮膚炎と、その後発症するアレルギー疾患との関連を確認した報告をオーバービュー(概観)した。

アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)は、発症年齢、疾患の重症度、民族による修飾因子、治療に対する反応、誘因に従い、複数の原因や複雑なメカニズム的な経路を伴う複雑な疾患である。

■ 乳幼児期早期に発症するADとアレルギー性の喘息および/または食物アレルギー(FA)と関係した重篤な生涯にわたる疾患を特徴とする管理の難しい患者グループが確認された。

■ 本研究では、これらの重篤なフェノタイプに焦点を当て、他のアレルギー疾患との関連を分析し、最近のコホート試験とメタアナリシスからの結果を考慮した。

■ アレルギー疾患の発症を説明するために現在提案されている主な仮説は皮膚バリア障害である。

■ したがって、アトピーマーチは続発性のアレルゲン感作により維持される皮膚機能障害に符合し、ADからアレルギー性喘息への移行を説明する。

■ さらに、ADの重症度は関連したFAの危険因子であると思われる。

■ populationベース、もしくは出生・患者コホート試験からの結果は、乳幼児期発症・重症AD、男児、喘息の親の病歴、乳幼児期および複数の感作が、アトピーマーチや喘息の発症につながる危険因子であることを示している。

環境因子の重要性は、これらのハイリスクの小児において認識されるべきであり、それに応じた予防プログラムが適応されなければならない。

バリア機能を回復させ、炎症をコントロールするための効果的な標的治療が必要である。

■ そして、乳幼児期早期の保湿剤療法はハイリスクの小児におけるAD予防の重要なアプローチである。

■ 臨床医はまた、フィラグリン変異の場合のアレルギー疾患の特異的なリスクと、皮膚バリア構成要素の遺伝的な変異による症候群の稀なフェノタイプに留意すべきである。

 

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皮膚バリアから見たアレルギー疾患予防がどこまでできるかは、さらに検討を要するが、重要な視点であることは間違いないでしょう。

■ 皮膚バリアというと、ドライスキンばかりに目が行きがちですが、皮膚の炎症そのものが皮膚バリアをさらに加速させることは多くの研究ではっきりしてきています。

■ 皮膚バリアをどのようなバイオマーカーで早期につかみ、皮膚炎症をどのようなバイオマーカーで把握していくかが、今後の焦点になるように思います。

 

今日のまとめ!

 ✅ 皮膚バリアからみたアレルギー疾患予防は、さらに発展してきそうだ。

 

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