以下、論文紹介と解説です。

Tsilochristou O, et al. Association of Staphylococcus aureus colonization with food allergy occurs independently of eczema severity. J Allergy Clin Immunol 2019.[Epub ahead of print]

ピーナッツ早期導入によりピーナッツアレルギー予防を報告したLEAP試験の参加者において、黄色ブドウ球菌の保菌と食物アレルギー発症の関連を検討した。

背景

■ 黄色ブドウ球菌は、湿疹、アレルギー性鼻炎、喘息、食物アレルギーの病態生理に関与している。

■ 黄色ブドウ球菌は、食物感作/アレルギーの危険因子であり、より重篤なの湿疹のマーカーである。

■ 従って、湿疹患者におけるS.aureusと食物アレルギーの関連は、湿疹重症度と関連する可能性がある。

 

目的

■ 湿疹の重症度とは独立して、幼児期における一般的な食物アレルゲンやアレルギーに対するS.aureusコロニー形成と特異的IgE(sIgE)産生との関連を調べることを試みた。

■ さらに、S.aureusのコロニー形成と湿疹の重症度、湿疹の持続との関連を決定した。

 

方法

Learning Early About Peanut Allergy(LEAP)試験では、湿疹の重症度を評価し、皮膚/鼻スワブにより黄色ブドウ球菌の培養検査を実施した。

■ 感作はsIgE抗体価を測定することにより特定した。

■ ピーナッツアレルギーは主に経口食物負荷により決定され、持続した卵アレルギーは主に皮膚プリックテストを用いて決められた。

 

結果

■ 皮膚におけるS.aureusコロニー形成は、LEAP研究全体では湿疹重症度と有意に関連していたが、生後12ヶ月と60か月においてはその後の湿疹悪化と関連した。

どの時点における皮膚のS.aureusのコロニー形成でも、湿疹の重症度とは無関係に鶏卵卵白やピーナッツsIgE抗体価の上昇と関連していた

S.aureusのある参加者は、湿疹重症度とは無関係に、生後60ヶ月と72か月において持続した卵アレルギーやピーナッツアレルギーがある可能性が高かった

ピーナッツアレルギー(312人中9人)を持つ9人のLEAP研究のピーナッツ摂取者のうち、1人を除く全員が、少なくとも一度は黄色ブドウ球菌を保菌していた。

 

結論

■ 黄色ブドウ球菌は、湿疹の重症度とは無関係に、食物感作およびアレルギーと関連し、食物に対する耐性を阻害する。

■ これは、湿疹のある乳児における食物アレルゲンに対する耐性を誘導し、維持することを目的とした将来の介入における重要な要件になり得る。

 

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皮膚の悪化があると、離乳食を早期導入しても食物アレルギー予防に失敗しやすいのは、黄色ブドウ球菌が関連しているかもしれない。

■ 卵の離乳食早期導入の有効性は、湿疹治療も同時に介入するべきことがはっきりしています。

■ ピーナッツに関しても、やはりLEAP試験の二次解析で、ピーナッツアレルギーの予防効果は湿疹重症度との関連していることが指摘されています。

■ その理由のひとつに、黄色ブドウ球菌の保菌が関連しているかもしれません。

 

今日のまとめ!

 ✅ 離乳食早期導入による食物アレルギー予防と、黄色ブドウ球菌の保菌は関連するかもしれない。

 

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