以下、論文紹介と解説です。

Clifford D, et al. A longitudinal study of hymenoptera stings in preschool children. Pediatr Allergy Immunol 2019; 30:93-8.

出生コホート研究 2137人における前向きコホート研究において、膜翅類の刺傷頻度とアレルギー頻度を調査した。

背景

■ 昆虫毒は、医学的に出会う以外ではアナフィラキシーにおいて2番目に多い原因である。

■ そして、膜翅類刺傷は小児における全アナフィラキシー死の20%以上、アナフィラキシーの7%を生じる。

■ 現在まで、就学前の小児における膜翅類刺傷またはアレルギーの長期的な研究はない。

 

方法

BASELINE出生コホート研究 2137人における前向き縦断的コホート観察研究である。

■ 生後6ヵ月、12ヵ月、2歳、5歳において、膜翅類刺傷に関する質問を行った。

■ 2歳、5歳時に皮膚プリックテスト(Skin prick testing; SPT)を実施した。

■ 選択された症例について2歳時にSpIgE検査を実施した。

 

結果

■ 2歳までに膜翅類刺傷のあった例は77例(6.8%)であり、有害事象は25例(32.5%)に認められた(4例は全身性)。

■ 11例(0.9%)は2歳時にSPT陽性だった(ミツバチに対し8例、スズメバチに対し2例、両方に対し1例)。

■ 膜翅類刺傷のあった児のうち4人はSPT陽性だった。

■ 2例(1例は刺傷歴あり、1例は刺傷歴なし)は2歳で毒液成分に対するSpIgE陽性だった。

計268人(21.9%)が5年間に刺傷歴があり、144人(52.1%)が局所反応を報告し、全身性のものはなかった

■ 4人(0.4%)は5歳でSPT陽性であり、ミツバチに対し1例、スズメバチに対し3例だった。

2歳時点でSPT陽性であった11人のうち、5歳の時点でまだSPT陽性であった例はなかった

 

結論

■ これは、就学前の小児における膜翅類刺傷とアレルギーの自然史における最初の縦断的研究である。

ハチ毒アレルギーは成人よりもこの集団では少なかった

■ 以前の文献と同様に、この集団における全身反応は記録されなかった。

■ 本研究は、毒に対するIgE感作と昆虫刺傷アレルギーとの弱い相関を確認し、小児の昆虫刺傷アレルギーをスクリーニングすることに対する一般的な親の要求を支持しない。

 

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乳幼児期のハチ毒アナフィラキシーは多くはないようだ。

■ あくまで低年齢に限定すると、ハチ毒アナフィラキシーがそれほど多いものではないといえそうです(絶対安全というものではありません)。

■ もちろん年齢が長じると懸念は増えてきます。そして、アナフィラキシー歴がある場合はエピペンの適応となるでしょう。

 

 

今日のまとめ!

 ✅ 成人に比較すると、5歳までのハチ毒アナフィラキシーは多くはないようだ。

 

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